「データ科学と社会I」 第5回 講義ノート


※ここでの解説は最新の「Excel 2013」の使用を前提としていますが、実際の操作は「Word 2016, 2010」とほぼ一緒です。

Excelの基本操作 1


1. 起動・ファイル保存・終了

1. Word を起動し、「白紙のブック」から新しい文書の作成を始める。

2. 「ファイル」 --> 「名前を付けて保存」 から、第1回で作成した 「ドキュメント」 フォルダの中の 「データ科学と社会」 フォルダに 「excel-2018_05_16」 という名前で保存する。

3. 右上の 「×」 をクリックして終了する。このとき最新の状態が保存されいないときには 「〇〇に対する変更を保存しますか?」 というメッセージが出る。


2. 用語

ブック (book): Excelではファイルのことを「ブック」という。

シート (sheet): 「ブック」は複数の「シート」から構成される。 シートの名前はExcelのウィンドウの下部に「Sheet1」、「Sheet2」のように表示されている。初期状態のブックは、3つのシートで構成される。

セル (cell): Excelのシートは格子状のマス目「セル」で構成されており、それぞれのセルは、

  列 (column): アルファベットの列(A, B,・・・, Z, AA, AB, ・・・, ZZ, AAA, AAB, ・・・)

  行 (row): 自然数の列(1, 2, ・・・)

という「アドレス」によって、「B5」、「AAB123」などのように参照される。


アクティブセル: セルを選択すると、太枠で囲まれそのセルが「アクティブセル」となる。

オートフィル: 一定の規則で自動的に値や関数をセルに入力できる機能。

関数: セルに「= ○○」とすると計算式を入力することができる。


【演習問題1.1.】 次の値を計算せよ。

 (1) 2×3

 (2) 2÷(3+5)

 (3) 1+2+3+4+5+6+7+8+9+10


3. 直接入力の基本操作

・ セルをアクティブにして入力を開始する。

・ 数値は半角で入力する。

・ [Enter]キーを押すとアクティブセルは下に移る。([Shift] + [Enter]では上に移る)

・ [Tab]キーを押すとアクティブセルは右に移る。([Shift] + [Tab]では左に移る)

・ カーソルキー(矢印)での移動も可能。

・ セル内での改行は、[Alt] + [Enter] で行う。

・ セルの書式は、「ホーム」内のアイコンや、アクティブセル上で「右クリック」 -> 「セルの書式設定」から変更できる。

・ 複数のセルをアクティブにした場合、次のような連続入力が可能。

(押したキー: [1] [Enter] [2] [Enter] [3] [Enter] [4] [Enter] [5] [Enter] [6] [Enter] [7] [Enter] [8] [Enter] [9])


【演習問題1.2.】 次の入力を行え。


4. 計算式 (1)

セル内で計算式として使える演算子や関数は次のようなものがある。

算術演算子

+ 足し算

-

引き算

*

掛け算

/

割り算

^

べき乗

関数の例

SIN(x) sin x COS(x) cos x TAN(x) tan x
ASIN(x) sin-1 x ACOS(x) cos-1 x ATAN(x) tan-1 x
LN(x) loge x LOG(x) log10 x EXP(x) ex
FACT(x) x ! (x の階乗) ABS(x) | x | (絶対値) SQRT(x) √x
INT(x) 小数 x の整数部分 MOD(x,y) x を y で割った余り QUOTIENT(x,y) x を y で割った商の整数部分
PI() π (円周率) RAND() 0以上1未満の乱数    

【注意】

 (1) 関数は半角の大文字で入力する。(小文字を使っても勝手に大文字に変換されるが・・・)

 (2) 三角関数の変数の単位はラジアン


以下の演習問題は次のファイルをダウンロードしてそれに書き込め。
exer5.xlsx


【演習問題1.3.】 次の値を計算せよ。

 (1) 2の10乗

 (2) 5の-5乗

 (3) 3の平方根

 (4) 2の立方根

 (5) 半径10の球の体積

 (6) 2次方程式 「2x+ 3x - 5 = 0」の解(小数で)

 (7) cos π

 (8) sin 60°

 (9) 10の階乗

(10) 2の100乗を10進数で表現した時の桁数

(11) 1234567を123で割った時の商と余り

(12) 0以上9以下のランダムな整数

(13) 0以上10以下のランダムな整数



5. 計算式 (2)

統計処理のための次のような関数もある。

SUM(a,b,,z) a, b, …, z の和
PRODUCT(a,b,,z) a, b, …, z の積
AVERAGE(a,b,,z) a, b, …, z の平均値
MAX(a,b,,z) a, b, …, z の最大値
MIN(a,b,,z) a, b, …, z の最小値
COUNT(a,b,,z) a, b, …, z の個数
STDEV(a,b,,z) a, b, …, z の標準偏差
VAR(a,b,,z) a, b, …, z の分散

【演習問題1.4.】 1から10までの整数の和と平均値を計算せよ。


6. セルの参照

・ セルに入力された値や関数等は、そのセルのアドレスで参照することができる。

「A1」「A2」のセルにそれぞれ「1」「2」が入力されているとする。
このとき、「B1」に「=A1+A2」を入力すると、「B1」に「1+2」の計算結果が表示される。

ここで、「A1」と「A2」の値を書き換えると「B1」のセルの値もそれに応じて変化することを確認する。

・ 長方形領域にある複数のセル(下では { }に囲まれたセル)は、次の「 」 内の記述によって参照することができる。

 {A3, A4, …, A10}--> 「A3:A10」

 {A3, …, A10, B3, …, B10, C3, …, C10} --> 「A3:C10」


【例1】 A1 から A10 のセルに順番に「1から10までの整数」が入力されている場合、これらの和や平均は次のように計算できる。

 「=SUM(A1:A10)」 (和)

 「=AVERAGE(A1:A10)」 (平均)


【例2】 参照したセルを更に参照することによって、「初項1、公差2の等差数列」を、セルA1, A2, … 上に次のように表すことができる。

 (1)「A1」に初項「1」を入力する。

 (2)「A2」には第2項として、初項「A1」に2加えた「=A1+2」を入力する。

 (3)「A3」には第3項として、初項「A2」に2加えた「=A2+2」を入力する。

 (4) 以下、この操作を続ける。


【演習問題 1.5】 Excelで次の問いに答えよ。

 (1) A1からA50のセルに順に5から54までの数を入れよ。

 (2) A1からA50の和、平均、最大値、個数、分散を求めよ。


7. セルのコピー・絶対参照・相対参照

アドレスの参照があるセルを別なセルにコピーした場合、コピーされたセルが参照するアドレスは相対的に変化する。 これを相対参照という。
より正確には、「セルのアドレスと参照するアドレスの位置関係はセルのコピーによって変化しない」 というルールがある。

一方、参照するアドレスをコピーによって変化させないことを絶対参照という。アドレスの絶対参照は次のように行う。

  列を変化させたくない場合には、参照するセルの列を指定するアルファベットの前に「$」を入力する。

  行を変化させたくない場合には、参照するセルの行を指定する数字の前に「$」を入力する。

【例】

 (1) 図のように「A2」から「A6」と「B1」から「F1」のセルに1から5の値を入力する。

 (2) 「B2」のセルに「=A2+B1」と入力する。

 (3) 「B2」のセルを「A2:F6」にコピーし、出力される値を確認する。

 (4) 「B2」のセルに「=$A2+B1」と入力し、(3)と同じことを行う。

 (5) 「B2」のセルに「=A2+B$1」と入力し、(3)と同じことを行う。

 (6) 「B2」のセルに「=$A2+B$1」と入力し、(3)と同じことを行う。


【演習問題 1.6】 九九の表を作れ。


8. 本日の課題

「exer5.xlsx」シート上で次の問いに答えよ。(できるだけ効果的に「相対参照」を用いること。)

【問1】「jn+2=jn+1+jn (n≧1) j1=1, j2=1」 で与えられる数列(フィボナッチ数列)の第1〜20項をA2-A21に入力せよ。

【問2】 A1-U21のセルを使い、20段までの九九の表を作れ。

【問3】 問3のシートのA1からL20に入力された240個のデータの「平均」、「最大値」、「最小値」、「標準偏差」を計算せよ。
問題のシートがダウンロードできない場合には下のデータをコピーし、エクセルのシートに貼り付けよ。

68 52 25 39 34 13 27 67 50 55 70 18
58 68 45 51 39 57 34 83 56 15 37 23
71 33 64 33 56 35 6 43 48 68 64 42
43 91 38 20 21 19 26 71 63 59 50 21
56 91 42 37 25 16 21 87 63 46 63 56
77 65 32 23 10 59 41 72 61 21 46 54
54 37 51 72 22 60 31 80 60 69 60 41
47 68 44 54 48 66 16 78 55 32 32 50
84 15 9 38 44 0 55 70 58 43 19 34
44 60 57 57 63 39 22 77 42 61 50 46
57 63 44 55 58 6 76 87 36 44 64 13
59 43 25 43 46 12 79 75 56 55 38 23
59 66 71 32 40 14 83 49 80 60 57 21
67 70 74 55 43 34 82 50 62 4 26 2
78 40 66 45 33 38 74 61 78 56 37 21
49 62 52 44 32 12 98 51 71 41 54 12
47 28 22 65 21 28 61 76 90 51 59 12
72 68 51 60 61 38 72 64 35 53 27 6
63 40 56 52 66 31 87 69 71 33 80 45
62 47 43 59 18 37 83 49 45 28 31 15


課題の問1〜問3に解答したexer5.elsxのシートを提出せよ。
ただし、提出メールの件名は自分のメールアドレスとする。
提出期限: 5月21日(月)24時まで




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