模型15
星形二十・十二面体編み
数楽工作倶楽部で紹介した菱形六十面体の編み方を応用し、下のような「星形二十・十二面体」を作ってみました。
今回使用するパーツを用いた「星形二十面体」や「星形十二面体」編みがこちらのページで紹介されています。今回製作するモデルも、既にどなたかがネット等で紹介しているかも知れないことを予めお断りしておきます。
星形二十・十二面体は、半正多面体の一つである「二十・十二面体」を構成する「正三角形」と「正五角形」の面を、それぞれ「3角錐」と「5角錐」に置き換えたものです。
二十・十二面体
一方、星形二十十二面体は、以前に数楽工作倶楽部で製作した菱形六十面体の(12か所の)へこんだ部分を、下のように5角錐になるように持ち上げた立体と考えることもできます。(この操作によって、「60枚」の「菱形」で構成された菱形六十面体は、「120枚」の「二等辺三角形」で構成される立体に変わります。)
このような構成方法から、星形二十・十二面体を編むための部品は、菱形六十面体を編む時に使った下のような12本のギザギザの帯の「菱形」を半分に折ったものであることがわかります。
青線が新たな折り目(両端はのりしろ)
製作方法
・ 以下の解説は、「菱形六十面体」等の製作経験があることを前提としたもので、未経験の人には難しいかもしれません。
・ 「のりしろ」の部分が三角形なので、組み立ての最終段階は、のりしろが四角形の菱形六十面体より易しいです。
(1)ギザギザ帯を12本切り取りる
折り筋をつけておくとあとの作業が楽になります。縦線が「山折り」、斜めの線が「谷折り」です。
(2)5角錐の組み立て
右から3番目の黄色い2枚の三角形(右端から近い方を「右1」遠い方を「右2」とする)のうち、1本目の「右1」と2本目の「右2」を重ねます。軽く糊付けをすると作業が格段に楽になります。
2本目の帯と同様の手順で、3、4、5本目のギザギザの帯の黄色の三角で5角錐を作ってゆきます。
(3)6本目の帯の編みこみ
上の写真のように、6本目の帯で、5角錐の周りに5個の3角錐を編んでゆきます。
(4)2個目の5角錐の組み立て
前の行程で編んだ3角錐の隣にある未完成の5角錐のうちの一つを、7・8本目の帯で完成させます。
その後、9本目を使い(3)と同様にして5角錐の周りの3角錐を完成させます。
(5)3個目の5角錐の組み立て
(4)と同様にして、既に作った2個の5角錐に隣り合う3個目の5角錐とその周りの3角錐を、10本目、11本目の帯で完成させます。
(6)12本目の帯の編みこみ
(5)の後、「5角錐を3角錐が取り囲む」ルールに従い編める部分を片っ端から編んでゆくと下の写真のようになります。
12本目の帯で(3)と同様に最後に残った5角錐の周り5つの3角錐を編んでゆくと完成です。
星形二十・十二面体はユニット折り紙でも可能で、幾何学の作図問題の立場からはとても興味深い製作方法です。
一方、今回の帯による製作方法における興味深い点は、多面体を構成する12本の帯(編み終わった後には12本のリングになる)の位相構造に尽きると思います。これらのリングを伸び縮みする輪ゴムとみなすと、ゴムの絡まり具合は、以前に製作した菱形六十面体と全く同じです。更に数楽工作倶楽部で製作したリングで編むボールとも同一視することができます。