工作 5
ふと思いつき、水面の波紋を次のような模型で表現してみました。
一般の方々向けに、イメージして頂きたいのは水面に滴を落として波立つある瞬間です。
少し専門的いうと、波動方程式とよばれる偏微分方程式のある時刻の解です。特にここで考えているのは、次のような2次元の波動方程式の解です。
さらに専門的にいうと、このモデルは境界上で Neumann 境界条件を設定した円領域内部における初期値境界値問題です。(ということで、境界は上の模型の木枠の部分ではなく、その外側にあります。)このような球対称の単純なモデルの場合、波動方程式の解はベッセル関数を用いて記述することができ、下の写真にあるような型紙の設計図は容易に作成することができます。
製作過程
1.型紙の作成
台の大きさ、紙の厚さ、断面の数(分割数)を決めると、切断面を表す方程式は自動的に決まってしまいます。
今回、型紙の曲線は Excel を使って描きました。
53枚の型紙
2.その他の部品の製作
型紙の隙間に挟む角材と枠付きの台を準備します。今回使用した角材の厚さは2mmでした。台は市販のものです。
3.組み立て
型紙と角材を交互に置いてゆきます。
最後の数枚を組み入れるには多少こつがいりますが、計算が合っていることを信じて型紙を押しこんでゆき、完成させます。
完成
いろいろな角度からの眺めです。展示用のアクリルケース(1500円程度)が、製作費の大半を占めています。
この種の模型は、厚紙や角材の加工精度が高いため、設計図さえきちんとできれば比較的簡単に見栄えの良いものが出来上がります。ただし、厚紙の強度の問題から、あまり高さのあるものは難しいかもしれません。
型紙のデータさえ準備できれば、もっといろいろなものを立体的に表現してみるのも面白いかもしれません。ただし、数式で表されるもの以外の型紙に必要なデータを得るのが難しいと思われます。