ブックタイトル山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

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概要

山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

146 教育学部がそれまで実施してきた「フレンドシップ事業」や「放課後学習チューター」など、教員を目指す学生が、実際に地域や学校で継続的に子どもたちと関わる実践の場の拡充を図るとともに、その実践をおこなった学生が体験を振り返り、個別の教育支援を受けられる場として「ちゃぶ台ルーム」を設置するというものであった。また、「ちゃぶ台ルーム」では学生だけでなく、大学教員、小学校や中学校などの学校教員、また教育に関心を持つ様々な人がちゃぶ台を囲む場所として提供されている。 ここで文字通りちゃぶ台を囲んで勉強会や研修会、交流会を持ち、教壇と生徒席という関係ではない互いに膝をつき合わせた関係の中で教育の議論を深めている。当初の教員養成GPは平成18(2006)年度で終了するが、その後「ちゃぶ台型ネットによる理科教育支援計画」(平成19、20 年度 文部科学省専門職大学院等教育推進プログラム)、「ちゃぶ台方式による学生と新任教員の協働型教職研修」(平成19 年度 教員養成改革モデル事業)、「ちゃぶ台方式による小・中連携型の社会科授業研修計画」(平成19 年教科指導力向上プロジェクト)などが採択され、現在まで「eちゃぶ」、「理科ちゃぶ」、「ちゃぶ台次世代コーホート」、「ちゃぶ台林間学校」などの事業として引き継がれている。「ちゃぶ台」を囲んで、楽しく、緩やかながら、豊かな学びの場を実感する学生たち進路状況 昨今の就職事情、とくに教員の場合には県内外の募集人員の枠に大きく左右されるという特殊な事情がある。このため、少子化が叫ばれる中で、かつて採用された教員数と生徒数のアンバランスや、教員の年齢構成のアンバランスなどもあって平成10(1998)年代には教員採用数がかなり絞られていたということもあり、軽々に教員養成能力やその役割を論じることはできない。しかし、教員に限っては近年の学部卒業生の就職状況は改善してきている。とくに正規採用者数は平成10(1998)年代半ばより着実に増加していることは評価して良いだろう。 団塊世代が大量に定年退職することなどによる教員不足が指摘されるなど、近年教員需要が上向いていることは事実であるが、大都市部のように教員不足が大きく取り沙汰される地域と山口県が同じではない。なお、教員採用は狭き門という側面も残っている。こうした地域的な事情を十分に考慮していく必要がある。地域的特性 また、教育学部ばかりではないが山口大学の特徴として、県内出身者の比率が低いという事情も少なくない。平成24(2012)年の入学者253 名中山口県出身者は97 名で4 割を下回っている。平成20(2008)年度など3 割を下回っていた時期もあり、近年多少県内比率が上昇してきている傾向があるとはいえ、なお、県外出身者が多いという傾向は否めない。当然、卒業生の多くは出身県での教員採用試験を第1志望とする傾向が高く、その結果として山口大学卒業生に占める山口県教員採用試験受験者が低く発現してしまうという側面がある。 これは教育学部の位置する山口市の県内における中心性の低さという地理的条件(県東部は広島方面、県西部は福岡方面を近隣の進学先として選考)とも関わる。そうした状況の中、周辺の県や大都市部との動向を踏まえて、どのような教員養成・人材養成を担っていくかが今後の課題となろう。