ブックタイトル山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

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概要

山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

155【第2部】2 学部・大学院等の発展保健師・助産師・臨床検査技師の国家試験合格率もトップクラスである。 看護学専攻では、学生全員が看護師・保健師の受験資格を得るためのカリキュラムを履修するダブルライセンスの教育体制をとっており、さらに、選択によって助産師の受験資格が得られる「助産師コース」を設置し、専門的な看護系人材育成の体制を構築している。 検査技術科学専攻では、臨床検査技師の受験資格に加えて、細胞検査士、健康食品管理士、バイオ技術者などの受験資格が得られる選択コースを設けており、これらの専門職種は、従来の医療分野だけにとどまらない社会に必要とされている多種多様な分野の医療人を育成している。実習風景研究 医学部では、各講座や大学院との連携を図り、学際的で柔軟な教育・研究を推進する目的で、平成12(2000)年に基礎系講座と臨床系講座の統合による大講座を導入し、平成13(2001)年には、創造的・先端的医療技術の開発研究を推進するため、医学と工学を連携した応用医工学系の大学院を設置し、さらに平成18(2006)年には社会に貢献できる高度専門職業人の育成と医療関連分野の発展を目指した医学・工学・農学・理学を横断的に連携した応用分子生命科学系の大学院を設置し、学部の枠を超えた再編によってリサーチ・ユニバーシティとしての教育機能の強化を行ってきた。 また、平成17(2005)年には、保健医療の専門的知識と技術を教授するとともに、豊かな人間性を涵養する教育を行い、医療の多様化・高度化に対応しうる医療人を育成することを目的として保健学専攻を設置した。 歴史的には、昭和34(1959)年の交叉電気泳動法の開発や二次元親和電気泳動法の開発、昭和52(1977)年の扁平上皮癌の腫瘍マーカーSCC抗原の発見、平成10(1998)年の微生物ゲノムコンソーシアムの主管と病原細菌の全ゲノム解読など、今も世界的な評価を受けている業績を上げている。現在、基礎研究からの臨床応用を目指すトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)に力を入れ、独創的な研究活動に対して大学独自の支援を受けている。さらに、「先進医療」や「高度医療」の開発を目指した質の高い研究成果を世界に発信しており、以下にその一部を紹介する。 世界で初めて山口大学が開発した「自己(患者)骨髄細胞を用いた肝臓再生療法」は世界に普及しつつあり、文部科学省の国家基幹プロジェクト「培養ヒト骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法の開発」が開始されている。一方、遺伝子多型を利用したがん感受性評価法の開発や新たながん免疫療法の開発を目指した研究が進んでいる。自己骨髄細胞の血管新生能力の発見から下肢虚血の治療応用は先進医療として認可されている。また、JNKシグナル経路を分子標的とした大動脈瘤の薬物療法の開発や、血管攣縮の特効薬としてエイコサペンタエン酸の可能性を明らかにした画期的な研究成果が世界に発信されている。脳・神経・精神疾患領域では、難治性てんかんの脳局所療法の開発や脳温度制御による脳・脊髄の保護効果の研究、うつ病を対象としたエピジェネティックな研究や精神疾患における脳での脂肪酸代謝の器官解剖的な研究が注目を浴びている。さらには、インスリン様成長因子-1とサブスタンスPからなるペプチド製剤の創傷治癒作用の研究と臨床応用、カルシウムハンドリング異常による心不全の病態解明、Wolfram症候群の遺伝子同定、生体の恒常性維持機構