ブックタイトル山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

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概要

山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

159【第2部】2 学部・大学院等の発展び肝疾患センターにはそれぞれ「がん相談支援室」、「肝疾患相談支援室」を設置して、患者、家族、地域医療機関、地域住民からの多様な相談を受けている。山口県の周産期医療は、本院を含む2 つの総合周産期母子医療センター、4 つの地域周産期母子医療センター及び地域の周産期医療関連施設、行政機関や救急隊と協働した診療体制がとられており、全国で問題になった合併症をもつ妊婦の受け入れ問題(たらいまわし)は山口県では発生しない優れた連携基盤を構築している。 近年では、災害医療への対応も充実させており、東北大震災の際のドクターヘリによる医師・看護師の派遣、DMATやこころのケアチーム等の活動に対して厚生労働大臣から感謝状が贈呈された(平成25 年)。教育・研究 附属病院では、医学部及び医学系研究科と連携して、臨床教育・研究のサポート体制を充実させている。 臨床教育については、将来を担う優れた医療人を育成すべく様々な取組みを行っている。医学教育における医師養成課程については、国際的医学教育認証への対応、チーム医療マインドの涵養、総合力のある人材育成などの医学科のカリキュラム改正に合わせて柔軟に実施している。特に臨床実習においては従来の52 週から72 週へ再編が予定されていることから、受入期間の増加に向けて、より一層教育に力を入れられるよう準備している。 平成16 年から医師卒後臨床研修制度が開始されたことに端を発し、医療を取り巻く環境が大きく変化し“医師不足”が社会問題となっている。卒業後二年間の初期研修が義務づけられて研修医が大都市の研修機関に集中した結果、地方の医療機関への医師派遣の中心的役割を担っている大学病院の医師不足が深刻化し、地域医療圏の医療体制の維持が危機的状況に陥っている。本院においても例外ではなく、新制度に対応するために卒後臨床研修センターを設置し、附属病院に在籍する研修医の減少に対する対策などを行ってきた。 さらに、平成23 年からは医療人育成センターに改組して研修医・専門医支援部門、地域医療支援部門、男女共同参画支援部門、コメディカル育成支援部門の4 部門を設置し、研修医の獲得、医師の定着、女性医師への支援、医療技術の習得・向上などに附属病院が一体となって積極的な取組みを行っている。 看護師については、厚生労働省がすすめる急性期病院の7 対1 看護に対応するため法人化前と比較して激増しており、新人看護師の教育体制の整備が大きな課題となっている。年度毎にクリニカルラダーを明示した個人のレベルに応じた継続教育プログラムを作成して看護の実践を支援するとともに、看護職員として必要な知識、技術、態度を習得させ、自己のキャリアアップと組織の成長を図っている。また、専門学校や地域医療機関から看護師、薬剤師、放射線技師等の実習・研修を受け入れており、地域の医療従事者の育成にも積極的に取り組んでいる。 院内では事務職員を含めた全職員を対象とした感染対策研修、医療安全研修、接遇研修等を行うと共に、院外の各学会のシンポジウム、診療報酬・労災請求説明会、DMAT訓練などの専門性の高い研修会等に積極的に参加し、スキルアップを図っており、未来を担う医療人を育成するための教育体制を充実させている。 臨床研究については、平成8 年に我が国初の治験コーディネーター制度を導入した臨床試験支援センター(現:臨床研究センター)を設置して、科学性、倫理性を保証した臨床治験を日常診療のなかで積極的に取り組むことを可能にする臨床研究支援体制を整備した。また平成23 年度からは、先進的な診断法・治療法の開発につながるトランスレーショナルリサーチを推進するため、病院収入を財源として年間7件約4,500 万円(平成26 年度)の研究助成を行った。