ブックタイトル山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

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概要

山口大学記念誌  「志」つなぎ伝える二百年

196 時間学研究所は、平成12(2000)年4 月に当時学長であった廣中平祐先生と時間生物学分野を中心とした学内研究グループにより学内措置として設置された。設置の意図は、時間という観点から研究者間の交流を図り、新たな学際領域を創造するとともに、研究成果の社会的な還元を行うことにあった。そのため、設置当初から文理融合による新しい研究領域を目指している点に特色がある。 研究所は平成22(2010)年4 月に時限が解除され、山口大学唯一の常設研究所として、第2 期中期計画では時間学の学術領域としての確立をめざし国際拠点化を進めている。 研究所は、現在、教授3 名、准教授1 名、講師1 名の専任教員に加え、所長および各種スタッフ合わせて30 名のスタッフを有している。そして、平成23(2011)年から提唱者の廣中先生を名誉所長にお迎えするとともに、研究をサポートする体制として8 名の学外からの客員教授をお願いしている。 さらに、「社会的時間と人間的時間の調和の研究」、「生物に刻まれる時間と環境変遷に関する研究」、「多文化圏における時間表象の研究」、「時間に関する個別融合分野の研究」を研究テーマとした研究所専任教員と山口大学内の教員とで組織される4 つの研究グループがある。 これらの研究テーマからもわかるように、参加研究者の学問分野は、生物学・医学・工学・物理学・心理学・哲学・社会学・経済学・文学・文化人類学など多岐にわたり、山口大学のすべての学部と深く関係している。また、研究所の運営を行うために、企画委員会、運営委員会が設置され、時間学公開講座、アフタヌーンセミナー、時間学国際シンポジウムなどを企画し時間学の普及に努めると同時に、複数の学部において研究所専任教員による教育活動も行っている。 時間学研究所の使命は、文系・理系の連携によって「時間学」という新しい学問を切り開き、時間を科学的合理性のみから解釈するだけではなく、その解釈により、人間的な生活を行うための時間を取り戻すことにある。そのために、持続可能な地球社会や人間社会を洞察し、文明論をも視野に入れた幅広い研究を行うことが極めて重要である。時間学研究所は、こうした地道な研究と、時代の要請する科学的な研究とを車の両輪として発展すると共に、研究成果を地域に還元していきたいと考えている。 山口の地は、近代社会に多大な影響を及ぼした機械時計が、フランシスコ・ザビエルにより我が国に最初に伝来した地でもある。不幸にして、大内氏に献上されたこの機械時計は、大内氏の滅亡と共に消失してしまったが、山口で時間の研究を開始し、機械時計ではない「新たな時の計測」を創始するのも意義深いと思う。 いずれにせよ、時間に関する研究の世界で唯一の「シンクタンク」を目指し、学内外を問わず、幅広く共同研究を進めていきたいと考えている。平成12(2000)年時間学研究所設置(時限付)平成22(2010)年時限解除により常設研究所として位置付け4 - 4 時間学研究所