《池田尚史》海洋地球研究船「みらい」最後の研究 航海に参加
創成科学研究科 D3 池田尚史
海底に堆積する泥は、長い時間をかけて、過去の気候や海洋環境の変動、火山活動、地震など、地球で起きたさまざまな出来事を記録しています。私は、こうした海底の泥がどのような環境で堆積し、地層として保存されるのかを研究しています。
2025年11月、国立研究開発法人海洋研究開発機構海域地震火山部門のKan-Hsi Hsiung博士が首席研究員を務める、海洋地球研究船「みらい」のMR25-07次研究航海に参加しました。本航海では、JAMSTECの研究者を中心とする研究チームによって、日本海溝周辺の海底地形、海底下の地質構造、海底堆積物を総合的に調査しました。私は博士課程学生として乗船し、観測作業や採取試料の処理に参加するとともに、自身の研究に関係するデータを取得する機会をいただきました。
航海では、ピストンコアと呼ばれる採泥装置を用いて、深海底から柱状の泥の試料を採取しました。また、サブボトムプロファイラーによって海底下の浅い地層構造を調べ、マルチビーム音響測深によって詳細な海底地形を記録しました。海底地形、海底下の地層、実際に採取された泥を組み合わせて調べることで、堆積物がどこから運ばれ、どのような場所に堆積し、その後どのように保存されたのかを検討できます。
研究航海は、多くの研究者、観測技術員、船長、乗組員の協力によって成り立っています。ピストンコアの投入や揚収、音響観測、試料の分割や記載など、それぞれの作業が連携することで、初めて研究に利用できるデータが得られます。学生として航海に参加することは、試料やデータを得るだけでなく、大規模な海洋調査がどのように計画され、多くの人々の協力によって実施されているのかを学ぶ貴重な機会でもあります。
今回で、私が「みらい」に乗船するのは3回目、研究航海への参加は6回目となりました。「みらい」は大きく安定した船体をもち、荒れた海でも比較的揺れが少ないため、私にとっても研究に集中しやすい船でした。これまでの乗船を通じて、多くの試料やデータを得るとともに、船上で研究者や観測技術員の方々から多くのことを学びました。
長年にわたり日本の海洋研究を支えてきた「みらい」は、本航海を最後に研究航海を終えました。その最後の航海に学生として参加できたことは、私にとって大変貴重な経験となりました。航海で取得されたデータの解析は現在も続いており、成果の一部は2026年刊行予定の『Progress in Landslide Research and Technology, Volume 5, Issue 2』に掲載される予定です。
最後に、本航海を計画・実施された研究者の皆様、「みらい」の船長・乗組員の皆様、観測を支えてくださった観測技術員の皆様、ならびに乗船の機会を与えてくださった関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
