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【コラム】『映画をめぐる冒険』

【コラム】『映画をめぐる冒険』

  • 神田育也「ヴィスコンティは二度死ぬ—『ルートヴィヒ 神々の黄昏』解説」
    2022年10月3日
    神田育也 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士2回生)  『ルートヴィヒ 神々の黄昏』について村上春樹は「ルキノ・ヴィスコンティの遺作である」[1]と述べているが、これは全くの事実誤認である。ヴィスコンティの遺作は『イノセント』であって、『ルートヴィヒ』ではない。バイエルンの歴史大作『ルートヴィヒ』とローマの愛憎劇『イノセント』ではかなりの隔たりがあり、ましてヴィスコンティは『ルーヴトヴィヒ』の後に、『家族の肖像』も撮影している。 一体なぜこのようなミスを村上春樹はしたのだろうか。以下では「単純な勘違い」に過ぎないであろうこの問題を、あえて「過大評価」し、『ルートヴィヒ』のコンテクストか…
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  • 神田育也「「上手な」映画、『ジョーズ』の解説 ―撮影技術、コンティニュイティ編集、ナレーションの観点から―」
    2022年8月22日
    はじめに  『ジョーズ』(1975)はスティーヴン・スピルバーグの劇場公開第2作にして、それまでの商業映画の常識を根底から覆した作品である。ホオジロザメが人を食い殺す。「一文で要約して売る」ことができる「ハイ・コンセプト」[1]なストーリーは、あらゆる観客層の心を鷲掴みにし、『イージー・ライダー』『真夜中のカーボーイ』に熱狂したヒッピーから『エクソシスト』『悪魔のいけにえ』に惚れ込んだホラーマニア、『タワーリング・インフェルノ』『エアポート'75』を気軽に楽しんだ家族連れまで、全米をサメの虜にさせた。 封切り後、僅か2週間で製作費を回収した『ジョーズ』は、歴代興行収入1位だった『ゴッド・ファー…
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