本研究会について
本研究会は村上春樹文学の解明とともに、文学的想像力から生まれたアダプテーションの存在に着目し、村上春樹文学の総合的な解明を目指しています。
現在、村上春樹文学は50以上の言語で翻訳されグローバルに享受されており、「世界文学」と言われる事も増えました。そのような流れに伴い村上春樹文学のアダプテーション(翻案)も多くのメディア(映画・舞台・漫画・挿絵本・アニメ等)で盛んに行われ、日本人以外の翻案者も多く関わっています。かつてアダプテーションは原作に対して二次的であり、価値が劣るものとして捉えられてきました。しかし、2000年以降「創造的および解釈的に置き換える作業」(リンダ・ハッチオン『アダプテーションの理論』2006・邦訳2012)といった創造的行為と再認識され、積極的に研究が進みつつあります。そうした中で、グローバル規模で日本人以外の翻案者が関わる村上春樹文学のアダプテーションの増加は、アダプテーション研究においても注目すべき現象です。本研究会では、日本文学研究の枠に留まらず、映画学・比較文学等の研究者や村上春樹に関心のある読者とも研鑽を重ね、学際的な方法論で村上春樹文学研究・アダプテーション研究に取り組んでいく所存です。
【代表者紹介】
山根 由美恵
山口大学教育学部 講師
https://researchmap.jp/yyumie