研究内容

 現在では,デジタルカメラやカメラ付き携帯端末の普及により,デジタル画像や映像を気軽に撮影することができるようになりました。 しかし,撮影条件によっては,焦点があわずボケたり,光量が足りず全体が暗くなったりと,必ずしも良質な画像・映像が得られるとは限りません。 私の研究室では,このように何らかの原因で劣化した画像の品質を改善するための画像処理技術,さらには,取得した画像の使用目的に応じた強調, 各種変換処理技術に関する研究を行っています。具体的には,

  • 画像の色変換(色覚バリアフリー化色変換,高齢者向け色変換,Fast Color2Gray,Color Transfer等)
  • 画像復元(Blind Deconvolution, PSF推定等)
  • 画像の擬似階調表現(2値/多値誤差拡散法, Inverse Halftoning, Video Halftoning等)
  • 画像の超解像化(画像拡大)
  • 画像の領域分割(Intelligent Scissors等)
  • 画像の色量子化
  • 画像の雑音除去
  • 画像のデヘイズ処理
  • 画像強調・鮮鋭化,ヒストグラム指定法に基づいた画像強調,暗視アルゴリズム,多重露光画像の融合
  • 画像融合
  • 画像のリサイジング(アスペクト比の変更)
  • 一般化Hough変換
  • モノクロ画像の着色処理

といった実応用を念頭に置いた幅広いテーマで研究を行っています。
 以下は、これまでの研究成果の例です。結果のみを示しています。私の研究室で行っている画像処理の雰囲気だけでもお伝えできればと思っております。 研究の詳細をお知りになりたい方は、お手数ですが末竹までお問合せ下さい。

研究例①:暗い画像の明度補正

入力画像
出力画像

研究例②:夜間に撮影された画像からの霧除去(デヘイズ)

入力画像
出力画像

研究例③逆光画像の明度補正

入力画像
出力画像

研究例④:マルチトーニングの改良

(左上)入力画像、(右上)誤差拡散法、(左下)従来手法(Nakashimaらの手法)、(右下)提案手法

研究例⑤:白飛びと黒つぶれが混在する画像の自然な強調

(左)処理前(中)MSRCR法(従来法)による処理結果(右)提案法による処理結果

研究例⑥:色相を保存したカラー画像のコントラスト強調

(左)処理前(中)従来法による処理結果(右)提案法による処理結果(色相を保存しつつ、明度と彩度のコントラストを適切に強調)

研究例⑦:局所色補正後の彩度の大きさに基づいた多重露光画像の融合

(左)露光量の異なる3枚の入力画像(中)従来法による処理結果(右)提案法による処理結果(局所色補正法により一枚一枚のコントラストを自動調整し、彩度荷重で融合することで詳細部まで明瞭に見えるようになった)

研究例⑧:疑似的な鏡面反射光の検出に基づいた光源色推定法を利用したオートホワイトバランス

(左)処理前(中)目標(光源色を機器を用いて計測し、それを基に理想的なホワイトバランスを行った結果)(右)提案法による処理結果(画像処理のみによる結果)

研究例⑨:異なるカメラで撮影した画像間での色調整

(左)処理前(カメラ1)(中)参照画像(カメラ2; 色のお手本; 色分布も画像サイズも異なる)(右)提案法による処理結果(カメラ1でとった画像をカメラ2でとった画像の色合いに似せる処理(非線形射影で色分布を揃えている)

研究例⑩:知覚明度を保存した色転写

(左)処理前(中)参照画像(色のお手本; 被写体も画像サイズ異なるカラー画像)(右)提案法による処理結果(色分布を参照画像に似せた上で知覚明度保存処理をしている)

研究例⑪:色の違いと知覚明度を考慮したカラー画像のモノクロ化

(左)処理前(中)モノクロ化の結果(一般的な方法; 明度成分の抽出によるモノクロ化)(右)提案法による処理結果(画素間の色の違いを明度差に反映させてモノクロ化; 暖色は明るく、寒色は暗く変換することで自然な変換を実現)

研究例⑫:テクスチャ情報を考慮した色パレットによるモノクロ画像の着色

(左)処理前(中)参照画像(色のお手本; 画角も画像サイズ異なるが、被写体が似ているカラー画像)(右)提案法による処理結果(明度-色の対応関係をテクスチャ情報を反映させながら構築し、それを用いて着色)

研究例⑬:主成分分析と線形判別分析を応用した空間分割型の色量子化

(左)入力(24ビットフルカラー)(中)メディアンカットアルゴリズム(従来法)による256色化の処理結果(右)提案法による256色化の処理結果

研究例⑭:高齢者の視覚特性を考慮した画像の明度変換(高齢者向け画像変換)

(上左)処理前(上右)提案法による処理結果(高齢者にとって見えにくい色の明度を調整している)(下左)処理前画像に対する高齢者の見えのシミュレーション結果(80歳)(下右))提案法による処理結果画像に対する高齢者の見えのシミュレーション結果(80歳)

研究例⑮:2色覚における視認性改善のための色変換(色覚バリアフリー色変換)

(上左)処理前(上右)提案法による処理結果(弁別困難色間の明度を修正し、くっきり見せる処理をしている)(下左)処理前画像に対するD型色覚による見えのシミュレーション結果(下右))提案法による処理結果画像に対するD型色覚による見えのシミュレーション結果

研究例⑯:顕著度と勾配強度の順位を考慮した画像のリサイジング

(左)処理前(中)一般的な方法(鳥がおデブに…)(右)提案法による処理結果(縦、横ともに1.5倍の拡大処理をした後に、顕著度と勾配強度の低い列を重複して追加して横のサイズを2倍に調整している; 目立たないけどよく見ると…)

研究例⑰:食べ物を美味しく見せる!

(左)処理前(右)提案法による処理結果(食べ物領域を色相で判別し、さらにある程度以上の彩度をもつ領域のみを強調することで食べ物を美味しく見せる処理を実現)

研究例⑱:座標の揃った性質の異なる2枚の画像を一枚の画像として表示する画像融合

(左)自然画像(右)深度画像(右)融合画像(自然画像の知覚明度と深度画像の色相を保持した融合画像)

研究例⑲:限定色画像に対する多ビットステガノグラフィ

(左)原画像(右)従来法で作成されたステゴ画像(右)提案法で作成されたステゴ画像(画像の劣化の少ない情報埋め込みを実現)