創発的研究支援事業

創発的研究支援事業」は、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的な研究を、長期的に支援するJSTの事業です。山口大学では、本事業への申請支援や採択者が研究に専念するための支援を行っています。

本事業の主な特徴

長期的な支援期間

原則として7年間(途中審査を経て最大10年間)という長期の支援が提供されます。短期間での成果創出を求められるプレッシャーから解放され、じっくりと研究の深化を図ることが可能です。

研究に専念できる環境

研究代表者が研究に専念できるよう、大学側と連携した研究環境の整備や、エフォートの確保が推奨されています。

「創発の場」による融合

単なる資金援助にとどまらず、異なる専門分野を持つ採択者同士が交流する「創発の場」が設けられています。これにより、分野を超えた知の融合と、新たなイノベーションの創出を促進します。

山口大学における創発研究者紹介

(2026.5.1時点)

富永 直臣
富永 直臣 Naoomi Tominaga

2025年度採択(6期生) 大学院医学系研究科(保健学専攻) 講師

研究テーマ:EVエンジニアリングが拓く脳バリア機能制御によるシン治療法の創成アルツハイマー病などの脳疾患治療において、最大の障害は薬の侵入を拒む「血液脳関門」です。本研究は、「天然の運び屋」である「細胞外小胞(エクソソーム)」を応用し、この関門を安全かつ一時的に制御する革新的な技術の確立を目指します。従来の「薬を運ぶ」発想を覆し、「あらゆる薬のために脳の扉を開く」汎用基盤技術の創出であり、脳創薬に大きな変革をもたらすパラダイムシフトへの挑戦である、といえます。
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家永 紘一郎
家永 紘一郎 Koichiro Ienaga

2025年度採択(6期生) 大学院創成科学研究科(工) 准教授

研究テーマ:ナノ物質の相転移制御による高効率熱電変換の実現温度差を電圧に変える「熱電変換」は、IoT社会の省エネ技術として不可欠ですが、室温付近では電子の熱分散が小さいため性能が下がる課題があります。本研究では、物質の相転移時に生じる「ゆらぎ」に着目しました。物質をナノスケールまで薄膜化してゆらぎを強めることで、電子状態の不均一性を生み出し、従来理論を超える高い熱電効果を狙います。これにより、室温でも高効率な次世代熱電素子の実現が期待されます。
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田村 功
田村 功 Isao Tamura

2024年度採択(5期生) 大学院医学系研究科(医学専攻) 助教

研究テーマ:in vitro着床モデルの構築と着床不全治療の開発ヒトの着床現象は不明な点が多く、着床不全に対する確立した治療法はありません。そこで、体外で着床現象を再現するin vitro着床モデルを確立することで着床現象の可視化を目指します。これにより、着床現象の詳細を明らかにし、着床不全に対する新たな創薬を目指します。さらに、着床不全への治療法として、子宮内膜オルガノイド移植による子宮内膜再生療法の開発と、これを応用した新たな妊娠成立法の開発を目指します。
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西原 秀昭
西原 秀昭 Hideaki Nishihara

2022年度採択(3期生) 大学院医学系研究科(医学専攻) 助教

研究テーマ:血液脳関門という新たな診断、治療ターゲットの確立神経疾患では脳の恒常性を維持する血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)の異常が病気の発症や進行と関与します。ただし臨床を反映したモデルがないため、詳細は分かっていません。本研究では、独自に開発した「患者iPS細胞からBBB構成細胞を作製する技術」を用いてこの問題を克服し、患者BBBに着目して神経疾患の病態解明を行うことで、BBBを標的とした革新的な診断技術と創薬に挑戦します。
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谷川 俊祐
谷川 俊祐 Shunsuke Tanigawa

2022年度採択(3期生) 細胞デザイン医科学研究所 教授

※2026年4月に熊本大学から転入

研究テーマ:
新規全胚培養システムを用いた血流と尿排出路を有する次世代腎臓オルガノイドの創出
ヒトiPS細胞から腎臓オルガノイドの作成が可能になりましたが、機能を持つ腎臓へ成長させるには血流(入口)と尿の排出路(出口)が必要です。本研究では血流と尿排出路を有する次世代型の腎臓オルガノイドを構築し、豊富な血流によってオルガノイドが成長・成熟できる新しい培養システムを確立します。これにより正確な病態再現に基づいた創薬と移植可能な腎臓の作製を目指します。
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井上 貴雄
井上 貴雄 Takao Inoue

2021年度採択(2期生) 大学研究推進機構 准教授

研究テーマ:局所脳温の制御技術確立とその垂直水平展開頭痛がすれば額を氷嚢で冷やし、火傷をすればその箇所を流水で冷やすと思います。冷却は症状を緩和させ、悪化を抑制します。しかし、病気の症状は体の外側だけでなく内側でも起きます。そして、体内の部位を体外から冷却することは困難です。私は脳局所にある病気の部位を冷却で治療する研究をしてきました。本課題では、脳を含む生体内の局所を冷却するデバイスを開発し、その冷却手法や治療効果の原理を含めて研究を実施します。
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