SDS支援システム開発講座
SDS支援システム開発講座
教授名 | 山根 俊恵 |
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講座の紹介
山口大学医学部は、宇部市と連携して地域の課題を解決するために、「SDS支援システム開発講座」を設置しました。現在、ひきこもり者は、約115.4万人と推計(2019年内閣府調査)され、その長期化と親の高年齢化が課題になっています。80代になってもなお親の年金で50代の子どもの面倒を観なくてはならないといった、いわゆる「8050問題」が深刻化しています。宇部市において、ひきこもり者は1,600人を超えていると思われます。しかし、「ひきこもり」に対する誤解や偏った知識によって相談ができずに孤立している家族の存在、また仮に相談窓口にたどり着いたとしても支援者の理解不足からたらい回しにされ、適切な支援が受けられないといった実態も明らかになっています。
SDSは、Social Distancing Syndrome(社会的距離症候群)の略で、「さまざまな要因によって、社会や人と一時的に距離を取った結果、徐々に社会とのつながりがなくなり、家族以外の人、または家族とのコミュニケーションの機会が減ってしまった状態である。さらに、この状態が長期化することによって自尊感情が低下し、社会参加が難しくなった状態である。」と山根は定義しています。ひきこもりが長期化することによって多くの方が「うつ状態」「昼夜逆転」「自己否定」「自尊心の低下」「自己効力感低下」「意欲低下」「感情コントロール低下」「対人恐怖」「家庭内暴力」「強迫症状」「寡黙」などの症状を体験する特徴があります。このような症状は、個人の生きづらさや家族とのコミュニケーションも少なからず影響しています。今後、「ひきこもり」に代わる用語として「SDS」を使用することで、多くの方に正しい知識を持ってもらい、早い段階で適切な支援が受けられるように理解を深めていきたいと思います。本講座では、宇部市のひきこもりに関わる支援者の人材育成とひきこもり支援体制の充実を図ることによって、誰一人として孤立することのない地域づくりを目指します。具体的には、2022年7月~2025年3月の3年をかけて下記を実践していきます。
1.在宅支援者が、支援が困難と感じる要因について調査研究を行います。
2.支援者を「SDSサポーター」「SDSゲートキーパー」「SDSチーフマネージャー」「SDSジェネラルネージャー」として養成します。
3.教材として、「一般市民向けのリーフレット」「各支援者向けのテキスト」「動画」などを作成します。
4.事例検討会等を重ね、「宇部市SDS支援システム」を構築していきます。
お知らせ
市民公開講座『〈だれもが孤立しないひきこもり支援〉生きづらさを抱えた人やその家族と共に考え共に歩く支援』を開催しました。
令和6年11月23日(祝土)、山口大学医学部第3講義室において、本学と宇部市の共催による市民公開講座『〈だれもが孤立しないひきこもり支援〉生きづらさを抱えた人やその家族と共に考え共に歩く支援』を開催し160名が参加しました。
本講座は令和4年から宇部市のひきこもり支援のあり方を考える社会連係講座として開設され、今回は3年目、最終年度の公開講座となりました。
講演1「信頼する人に繋がるために」では、本学大学院医学系研究科保健学専攻SDS支援システム開発講座の山根俊恵教授が、市を中心とした支援体制や、市から委託を受けたNPO法人が展開する伴走型支援活動を事例に挙げなら、ひきこもり支援のあり方について話されました。
続いて基調講演「ひきこもりをトラウマの視点から理解する」では、訪問看護ステーションいしずえ 代表 田邉友也氏が、ひきこもりになるこころのメカニズムを科学的に説明し、実践例をもとにひきこもりの当事者や家族の生きづらさや気持ちを理解して寄り添う支援のあり方についてわかりやすく話されました。
講演2「医療がひきこもり支援でできること」では、宇部市内の総合診療病院 波乗りクリニック院長 小早川節医師が、往診での事例を交えながら総合診療医として訪問診療に取り組む様子を紹介し、医療支援につながることの大切さについてわかりやすく説明されました。
ひきこもり経験者、家族、支援者らによるパネルディスカッションでは、それぞれの立場から、抱える思いや支援についての考え方、これから目指すひきこもり支援についてそれぞれ発表があり、経験者の「ひきこもりになって良かった」「自分らしい生き方にチェンジするチャンス」という言葉は、参加者は希望と勇気を受け取りました。
参加者のうち、当事者の家族や支援関係者からは、「本人の気持ちを一番にし、本人が生きやすいように」、「本人の意志を尊重しながら一緒に考えたい」、「当時者の行動や言動が理解できたので、関わり方を考え直してみよう」、「先回りせず、心で接していく」、「自分も健康で生活し、また楽しく子どもと過ごしたい」など、寄り添う支援について前向きな声をいただきました。
一方、窓口にアクセスしやすい仕組みや連携体制が構築されること、その支援があることを家族や支援者を含む多くの人が知っていくよう啓発していく必要であるなどの要望、また、居場所支援がまだ少ない、自立してくための支援が必要など、一歩踏み出すことのできた人を迎える社会への希望も意見としていただきました。
令和6年度活動報告
2024.11.23開催 第3回市民公開講座報告書アンケート結果.pdf
令和5年度活動報告
2023.5.19開催 第2回SDSゲートキーパー養成講座 報告書 アンケート結果.pdf
2023.10.21開催 第2回市民公開講座 報告書アンケート結果.pdf
2023.11.9開催 第3回SDSゲートキーパー養成講座 報告書 アンケート結果.pdf
2023.11.14開催 第4回SDSゲートキーパー養成講座 報告書 アンケート結果.pdf
2023.11.21開催 第5回SDSゲートキーパー養成講座 報告書 アンケート結果.pdf
2023.12.9開催 第1回ひきこもり支援者ネットワークの会 報告書 アンケート結果.pdf
2024.3.14開催 第1回SDSチーフマネージャー養成講座 報告書 アンケート結果.pdf
調査研究報告「ひきこもり当事者と家族を支援する地域支援者の課題」
~宇部市ひきこもり支援システムの構築に向けて~(ダウンロード版全42ページ)
〈報告1-1〉 表紙・目次・ひきこもり支援の概要.pdf
〈報告1-2〉 アンケート調査報告(令和4年度調査)・結果.pdf
〈報告1-3〉 アンケート調査報告(令和4年度調査)・考察・巻末資料.pdf
ひきこもり支援体制の構築に向けて、2022年12月~2023年2月に宇部市内全域のひきこもり支援機関の関係者を対象に実態調査を行い、支援者が感じている支援の困難さを把握しました。2023年度、当講座が開催した公開講座および支援者養成講座において講師の先生方および修了者の皆様の貴重なご意見をいただきながら、地域の課題 を検討しました。この報告書を宇部市の皆様、また山口県内外のひきこもり支援に携わる皆様に活用いただけますよう公開いたします。
令和4年度活動報告
2022.11.5開催 第1回市民公開講座報告書アンケート結果.pdf
2023.2.13開催 第1回SDSゲートキーパー養成講座報告書アンケート結果.pdf
関連動画
2022.11.5 開催市民公開講座動画
2023.10.21 開催 市民公開講座動画
だれもが孤立しない地域づくり~ひきこもり支援 生きづらさを抱えた人の心に寄り添う~