山口大学医学部 医学部

医学部長ご挨拶

山口大学医学部は、「住みたい田舎」ベストランキングで2020年総合部門第1位に輝いた「彫刻と緑の町」宇部市にあります。1年次を過ごす山口市はアメリカのニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2024年に行くべき52カ所」で、世界各地の旅行先の中で3番目に選ばれました。山口県は明治維新を興した地であり、幕末の思想家・吉田松陰が主宰した「松下村塾」で学んだ志士たちたちが近代日本の礎を築いています。山口大学医学部も先取の気風にあふれ、現在においてスタンダードとなっている検査法や治療法の多くを生み出してきました。創立は昭和19年の県立医学専門学校であり、昭和24年に県立医科大学となり、昭和39年に国立大学に移管され、山口大学医学部医学科となっています。平成12年には保健学科が設置され、看護学専攻と検査技術科学専攻を配して現在の体制となりました。

山口大学医学部は医学教育と研究の中心として多くの医師、医学研究者、医療行政者などを育成し、質の高い医療の提供と、医学の発展に貢献する拠点としての役割を果たしてきました。医学・医療の専門知識と技術を教授し、豊かな人間性を涵養すること、医学・医療の変化、医師の社会的役割の変化への対応能力を育成すること、国際的視野に立って医学の発展及び国際交流に貢献し、国際化に対応できる能力を育成すること、医学・医療の知識や技術の向上に積極的に貢献し、創造的な人材を育成することを理念・目的としています。

医学部で習得すべき重要なものは、高度な医療を行う知識と技術であることは当然のことです。さらに現代医学は再生医療や出生前医療などの、これまでに無い新しい生命倫理をあつかう学問として変化しています。また、医療における医師と患者の関係も、患者さんが十分な理解が得られるまで話し合って最善の治療法を決定し、協力して医療に当たる相互参加型医療へ、さらに進んで患者さんを中心とした医療へ変遷しています。このため医療技術は当然として、高い人間性を持つ医師の養成を目指します。

山口大学では急変する医学への要望へ応えるために、いくつかの特徴あるシステムを持っています。その一つがAIの医学応用です。近年のAIやシステムバイオロジーの発展はめざましく、医学医療分野への応用もすでに始まっています。ビッグデータを扱う医学研究の推進と医療人育成が、大学における大きな課題となっています。このため山口大学では全国の医学部に先駆けてAI専門の講座であるシステムバイオインフォマティクス講座を設立し、さらにAIシステム医学医療研究教育センター(AISMEC)を設立しました。これまで築き上げてきたAIシステムにより、医療ビッグデータを解析して、新しい視点からの予防法治療法開発を実践しています。教育では臨床実習におけるシミュレーターや、デジタル医療教育機器を整備し、デジタルトランスフォーメーション等の技術の活用により新しい教育プランを構築し、即戦力となり得る医療技術や医学知識を身に付けた人材養成を進めていきます。

さらにグローバルに医療を推進する国際的な人材を育成し、独創的な研究を実践する研究者を育成するカリキュラムとして、「自己開発コース」を行っています。これは実践的な医学研究参加型教育であり、学生が自ら研究室を選択して所属し、論文作成や学会発表を行うものです。全国でも最も長い6か月間、本格的な基礎研究をおこなうことで医学研究の重要性と興味深さを実体験するコースです。自己開発コースでは学内だけでなく、日本国内、さらに海外の大学や研究所を選ぶこともできます。連携する海外研究拠点は現在およそ10ヶ国、拠点数は20以上に増えています。保健学科ではチェンマイ大学、マヒドン大学、香港大学及び本学の4大学からなるAPAHL(Asia-Pacific Alliance of Health Leaders)の設立により看護・健康科学領域のリーダーの育成を進めています。またわが国唯一の看護・健康科学領域の国際誌Nursing and Health Sciencesが創刊20年を超えています。

今後も医学部は急激に変化する社会をリードする人材を育成し、パンデミックなどの緊急事態に柔軟に対応できる体制を構築し、世界に通じる研究成果を挙げることを目指します。

 

 

山口大学医学系研究科長
山口大学医学部長
田邉 剛

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