田村講師が「Scientific Congress Awards」を受賞
大学院医学系研究科産科婦人科学講座の田村功講師が、2024年10月にアメリカ生殖医学会(ASRM)において「Scientific Congress Awards(First place)」を受賞しました。ASRMはヨーロッパ生殖医学会と並ぶ、世界の二大生殖医学会の一つです。この賞は学会で発表された演題のうち、生殖現象の解明や将来の生殖医療への貢献が期待できる優秀な3演題に贈られるもので、田村講師の演題は最上位として表彰されました。
田村講師をはじめ、同講座の藤村大志診療助教、杉野法広教授らのグループは、これまで着床現象に関する研究を行ってきました。着床とは、受精卵が子宮内膜に接着する現象で妊娠が始まる最初のステップです。この着床が阻害される着床障害は、不妊症の原因の一つとなっています。しかし、着床障害に対しては、これまで良い治療法が開発されていませんでした。これは、着床という現象が、子宮内という観察することができない場所で起こるため、着床の詳細な機序が解明できないからです。田村講師らは、これを克服するために試験管上で着床を再現し、着床現象を観察することを可能にするべく研究を行ってきました。
今回の研究では、マウスの子宮内膜構造を模倣した新たな三次元子宮内膜構造(子宮内膜オルガノイド)を試験管上で作成することに成功しました。さらに、マウスの受精卵を共培養することで着床現象を再現し、リアルタイムでの観察を可能にしました。この研究結果の発表が、ASRMで表彰されました。
田村講師は「着床というブラックボックスに包まれた現象の可視化に成功したことで、着床の詳細なメカニズムの解明や、着床不全に対する新たな治療法の開発につなげたい」と話しました。