第7回多階層システム医学シンポジウムを開催
11月30日(土)本学医学部医修館において、大学院医学系研究科主催第7回多階層システム医学シンポジウム「人工知能・システム医学による難治性疾患への新たな挑戦」を開催しました。
このシンポジウムは、データサイエンス技術の医科学分野への展開に焦点を当て、システムバイオロジーやAIなど先端的な医用DS(Data Science)技術に関する最新知見を共有すると共に、本学部における取り組みを発信する場として開催しています。参加者は本学医学部関係者だけでなく、学外の研究者、地域の企業、自治体関係者など多岐にわたり、オープンなシンポジウムです。今年は現地開催とオンライン配信を併用したハイブリッド形式で実施しました。
当日は、理化学研究所の川上英良氏による「機械学習を用いたデータ駆動的な生命・疾患の理解と予測」と題した最新の医用AIに関する研究の講演をはじめ、奈良県立医科大学の前川亮氏の「胚のタイムラプス画像機械学習に基づく良好胚および正常核型胚スクリーニング法」と題したAIに基づくスクリーニング法の紹介とベンチャー企業との協業による技術の上市に向けた活動についての講演がありました。
また今回は、医療分野におけるAI・システムバイオロジー技術の社会還元、社会における技術展開にも焦点を当て議論を行うため、株式会社メタジェンの水口佳紀氏と株式会社SBX TechnologiesのSamik GHOSH氏に、各企業における取り組みをお話頂きました。
本学からは、AIシステム医学・医療研究教育センター(AISMEC)センター長浅井義之教授からAISMECにおける医用AI・システム医学の展開状況の報告を行いました。また、同じくAISMECの中津井雅彦教授からは、AISMECにおいて開発された技術の山口大学医学部附属病院における展開の試みと、近年特に発展がめざましい大規模言語モデルの電子カルテ自然文からの情報抽出への応用の試みなどについて報告を行いました。
本シンポジウムでは、研究開発から産業応用、臨床現場への還元まで、医用AI・システムバイオロジー分野における幅広いトピックが議論されました。研究側と企業側の視点が交わることで、学術機関と産業界が今後どのように連携・発展できるか、理解が深まる有意義な機会となりました。