山口大学 学長メッセージ
2024年夏の異常な暑さはいまだに記憶に残っています。2024年の夏(6~8月)の日本の平均気温は基準値(1991~2020年の30年平均値)からの偏差が+1.76°Cで、1898年の統計開始以降、2023年と並び過去最高でした。(注)
世界各地でも同様の猛暑に直面し、地球温暖化がすでに不可逆的な状況となっています。
一方、世界の紛争地域に目を向けると、2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻は、現時点においても解決の見通しが立っておりません。
また、2023年10月7日にはイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が始まり、女性と子ども、障がい者、老人、国連および国際NGO等の人道支援関係者を含む犠牲者が4.5万人を超え(2024年8月末)、いまだに解決の道筋が見えない状況です。さらに、アフリカ・スーダン内紛による難民、アフガニスタン難民、ミャンマーのロヒンギャ難民、ベネズエラ難民など、2023年末の時点で、全世界の難民と国内避難民の総数は、約1億1730万人にのぼっています。
SDGs達成目標年である2030年までには、SDGsの多くのゴールの達成が難しい状況であり、ポストSDGsの議論を進める前に、貧困削減と格差是正、ジェンダー平等と人権擁護、環境保全など幾つかの重要なゴールについて、継続的かつ着実な成果をあげることが重要です。
山口大学は、江戸時代の文化12年(1815年)に、上田鳳陽先生によって創立された山口講堂を前身として発展し、来年2025年には210周年を迎えます。
本学は、上田先生の建学精神を継承し、2023年には「明日の山口大学ビジョン2030」を策定しました。「知の創造と、しなやかな人材の育成により、地域に、世界に貢献する山口大学」を中心的な目標としてその達成を目指しています。
2030年のSDGsの達成と密接に関連づけ、「山口大学のSDGs貢献への3つの柱」である、
① 地域と日本、そして世界の課題解決に貢献する「人材の育成」
② 社会的インパクトのある「研究成果の発信」
③ 知のリソースを生かした「国際・地域社会との協働」の実践
日々邁進してまいります。
山口大学学長 谷澤 幸生
注:気象庁HP参照 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/sum_jpn.html