- 人獣共通感染性条虫症の疫学調査
- 分子系統学・分子系統地理学に基づく、条虫類の進化に関する研究
- 人獣共通感染線条虫類の遺伝子鑑別法の開発
- 魚類の粘液胞子虫病
- 養殖マボヤの被嚢軟化症の対策研究
寄生虫の分類の基本にあるのは形態学、つまり形の違いを識別することであり、それは現在も変わりません。しかし近年、一見して区別のつかない寄生虫達が、遺伝子解析により別種とされる例が増えています。また、世界中に広く分布する寄生虫の中には、種内に性質の異なる地域集団を持つものもいます。このような「近縁種間あるいは種内での性質の違い」に関する知見は、寄生虫病の予防・診断・治療法を確立するうえで必須の情報です。
そこで私は、分子系統解析や分子系統地理学的解析により、種間での類縁関係を明らかにしたり、種内で異なる性質を持つ地域集団が存在するかどうかを調べたりしています。そこで得られた遺伝子情報に基づいて、寄生虫病の遺伝子検査法の開発も行っています。
また、分子系統地理学的解析は、寄生虫の拡散の歴史を私達に教えてくれます。これは、病気の分布域拡大を防ぐうえで重要な情報になります。一方で、寄生虫の歴史を知ることは、私達人間を含めた宿主の歴史を知ることにも繋がります。生物の進化を考える時、寄生虫は非常に示唆に富んだ存在といえます。
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