設立の背景

 地球温暖化・砂漠化・感染症の拡大・食糧危機・食糧廃棄物の増大・代替エネルギーの必要性などの観点から「微生物研究」の重要性が拡大している。これらの課題は、地球規模の深刻な課題であるが、特に熱帯地域や水不足の地域を抱える東南アジアを中心とした「アジア」において特に重要な課題となっている。

 これらの課題の解決のためには、我々の身の周りに生息する常温菌でありながら、同属同種であってもそれらより5-10˚C高温で生育可能な、「耐熱性」を示す発酵微生物、さらには自然環境下の比較的高温域に生息する「微好熱性」を示す環境微生物、「地球温暖化」に伴い発生が拡大する病原微生物など、「中高温機能性」微生物の利用あるいは制御、さらにその「中高温微生物」を解析する学際的な微生物学の発展が必要である。 

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 山口大学では、上記課題に向けた取り組みとして、JSPS-NRCT「日−タイ拠点大学事業(1998~2008)・アジア拠点事業(2008~2013)・研究拠点形成事業(2014~2018)」による「耐熱性微生物資源の開発と利用」や科研費・海外共同研究(2008~2012)・MEXT科学振興調整費(2010~2012)・JST-JAICA SATREPS(2014~2018)等の国際共同研究の推進、JST-ALCA「低炭素化に資する発酵微生物のゲノム育種及びゲノム工学的「耐熱化」」(2011~2019)を始めとするいくつかの大型研究プロジェクトの推進、さらに、本学で進められている微生物研究推進体(2004~2008/ 2009~2015)での研究交流活動も含め、理・農・工・医・獣医学部を含めた学内での様々な型の共同研究が進められてきた。

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このような活動を基に、2009年9月、農学部に、「中高温微生物研究センター」(2012年4月からは農学部・共同獣医附属)は設置された。その後、2014年12月からは山口大学先進科学・イノベーション研究センターの研究拠点の1つとして、山口大学・中高温微生物研究センターとして、新たな活動を開始した。