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私たちは現世や過去の海洋底での 堆積学的、地史学的、 構造地質学的な変動現象についてさまざまなアプローチをしながら明らかにしています。例えば、真ん中左の写真は宮崎県都井岬の海岸線に見られ る海底地すべり堆積物です。このような 海底地すべりの発生メカニズムや分布、頻度などに基づいた リスク評価方法について研究しています。また、海底での堆積現象として、底層流による堆積作用である コンターライトの分布や堆積様式、堆積物の特徴について日本周辺での事例を調べています。そして、それらの地質現象の沿岸構造物への影響や マイクロプラスチックなどの環境汚染物質の海底での濃集プロセスについて、世界中の幅広い専門領域の研究者とともに調べています。さらには、 ベトナムや 東ティモールでの斜面災害の国際協力活動も行なっており、それに関連した研究テーマも現地との共同研究で実施しています。陸上での斜面災害は 海底 での地質現象を理解する上で 大変重要です。このように、私たちの研究室では、 国内外の研究者と連携して、海洋底での変動現象のメカニズムを明らかにするとともに、そういった研究成果に基づいて社会貢献をしています。
地球科学は構造物の 基礎地盤の調査や道路の 地すべりや 津波などの防災と密接に関わっています。では、質問です。理学としての地球科学と工学としての地球科学の違いはなんでしょう?私は、それは時 間軸 の違いだと思っています。 地球科学は地球の歴史を調べます。それは数万年も何億年も調べることがあります。工学は人間生活において役立つ学問なので、そこまで昔を取り扱うことは少ないのでしょう。 そして、その時間軸は「地球科学」の得意分野だと思っています。 ただし、それゆえに、地球科学には不確実性があります。だからこそ研究成果を社会に還元しようとするとリスクが生じます。 地球科学は、歴史的事実を調べるため、検証することが困難な、もしくは場合によっては不可能な学問体系になっています。 さらに、地球科学は地層記録を読み解きます。地層記録は自然のあいまいさが多分にあって、解析を困難にします。 ただし、検証不能だから、あいまいだから、リスクがあるから、と言ってあきらめてはいけません。 それを乗り越えて、地球の過去から規則性や法則を明らかにし、それを安全、安心な未来の日本のヒントに繋げる必要があるのです(日本学術会議「見解」)。 わからないからこそ、研究する意義があるのです。観察して、そこから仮説を立て、その仮説を検証し、最適化モデルを作る必要があります。 自然のあいまいさや時間を超えたあいまいな記録から可能な限りの最適化モデルを作成しないと、自然を読み解くことはできません。 そして、その繰り返しこそがイノベーションを生み、未来の日本を作ります。 では、私たちは、なにをしたらよいのでしょう。 ここに書いたので、それを読んでみてください( 燃えよ、海底地質リスク評価ー共感する人材育成に向けて、 各論6洋上風力開発のための海底地質リスクの評価)。日本の将来とみなさんの将来について一緒に考えましょう。
卒論 | 修論 | ||
1 | 2012 |
東日本大震災後の宮城県仙台沖 水深約 1000m までの 海底地形と地質構造 |
宮城・岩手県における水深200 m~3000 mの 海底地形と海底下地質構造 出版 |
2 |
2011年東日本大震災後に東北沖で採取された 表層堆積物の特徴 |
東北沖における約100年間の地層記録と 2011年の海底撹乱の記録 出版 出版 |
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3 | 2013 |
無人探査機「かいこう」が見た地震前の 日本海溝の詳細な地形・地質 |
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4 |
相模トラフで採取された海底堆積物の堆積学的・ 古地磁気学的研究 出版 |
物理検層を用いた岩相区分 ~Expedition 337 下北沖を例に~ |
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5 |
東北地方太平洋沖地震発生後の宮城県沖水深2000m〜 3500mの海底地形と地質構造 出版 |
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6 |
東北地方太平洋沖地震前後の宮城県沖水深2000 m以浅 における海底の比較 |
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7 | 2014 |
海底岩石試料と陸上地質との対比から見る房総沖の 海底地質構造 出版 |
深海底における簡便な地盤強度測定法とその応用 —日本海溝と南海トラフの例— |
8 |
北西ノルウェー,ヤンマイン海嶺北部における 地質構造と海底地すべりの関係性 出版 |
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9 | 山陽小野田における「美祢層群」の変形構造 | ー | |
10 | 凍結乾燥法を用いた含水未固結堆積物の微細組織観察 |
埋没深度千メートルまでの深海泥質堆積物の微細組織の変化 -南海トラフ・スンダ海溝の例- 出版 出版 |
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11 | 2015 |
2013年山口・島根豪雨による須佐トンネル周辺での 土石流の発生メカニズムの検討 |
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12 |
東北沖,日本海溝陸側斜面上部における 海底活断層の分布 |
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13 | 山口県油谷地域における石灰質砂岩の形成プロセス | ー | |
14 |
KH-13-5で採取された房総沖の海底堆積物の 物性及び磁化特性 |
御蔵島東方沖で採取された深海タービダイトの 堆積学的研究 出版 |
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15 | 2016 |
古地磁気を用いた伊豆衝突に伴う回転運動の検討 ―相良層群の例― |
埋没圧密による物性,力学特性,磁化特性の変化と 微細組織の関係性 出版 |
16 | 海底地すべりの形態的特徴に関する研究 | ー | |
17 | 山口大学周辺の斜面崩壊メカニズムの研究 | ー | |
18 | 2017 |
マイクロプラスチック海洋底への拡散と それに基づく年代決定論 |
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19 | 2018 |
琉球海溝で採取された表層堆積物の物性と 磁化特性 出版 |
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20 |
日本海溝陸側斜面の表層堆積物中の マイクロプラスチックの分布 出版 |
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21 |
樹木の年輪幅と古気候との関連性の研究: 現生の樹木と化石化した樹木の例 |
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22 | 2019 |
ベトナム北部における衛星画像を用いた 土砂災害の研究 出版 |
ベトナム北部における衛星技術を用いた 迅速な斜面災害検出法 |
23 | 福岡県八女市星野村茅原の植物化石の研究 | ー | |
24 |
北西太平洋で採取された深海堆積物の 岩石磁気学的研究 |
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25 | 北西太平洋で採取された深海堆積物の堆積学的研究 |
北西太平洋で採取された海洋底堆積物の堆積プロセスの 統合的研究 (出版予定) |
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26 |
海底堆積物でのマイクロプラスチックの 抽出方法とその応用 |
マイクロプラスチックの深海底への輸送メカニズムおよび 堆積プロセスに関する研究 (出版予定) |
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27 | 2020 |
セシウム・鉛同位体測定によって明らかにされた 深海底での堆積過程 (出版予定) |
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28 |
北西太平洋での地震探査の解釈に関する研究 (出版予定) |
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29 | 光学衛星を利用した斜面崩壊地の調査に関する研究 | ー | |
30 | 宮城県沖で採取された深海堆積物に関する研究 | ー | |
31 | 2021 | 海底堆積物のマイクロプラスチックに関する研究 | ー |
32 |
三陸沖アウターライズにおけるコンターライト 堆積システムの検討 出版 |
コ ンターライト・ドリフトの時空間分布の変遷:千島海溝外縁とイベリア沖の例 | |
33 | 干潟に発達する微地形の形成メカニズムに関する研究 | 干潟における微地形の形成と移動に関する研究 | |
4 | 那珂湊層群の層位古生物学的研究 | 白亜紀後期の活動的縁辺域におけるファンデルタ形成の意義:白亜系那珂湊層群の堆積相解析より | |
37 | 2022 | 和歌山県白浜町袋崎に見られる未固結変形作用とその考察 | ー |
39 | 日本海溝の浅海から深海における海洋底マイクロプラスチックについて | ー | |
40 | 2023 | さまざまな地質での岩級区分と周波数パターンの関係性の研究 | ー |
41 | 日南オリストストロームの変形構造とその形成過程についてマルチスケールでの検討 | ー | |
42 | 東北沖日本海溝陸側斜面上部に見られる変形の再検討 | ー | |
43 | 小笠原海溝周辺の堆積環境について | ー | |
44 | 2024 | 物理現象に関する研究 | ー |
45 | AIを用いた地学教材に関する研究 | ー | |
46 |
堆積物の物性に関する研究 |
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47 | 芦谷層群に関する研究 |
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