教育GPシンポジウム 実施報告
目標達成型大学教育改善と山口大学におけるFD活動
実施要綱
概略
外部評価委員会による評価結果の公表について3月6日(土)に開催された外部評価委員会(委員長: 末富 喜昭 山口日産社長)より本取組に対して添付のような総合的な評価を受けましたので掲載します。この評価結果を最終年度(平成22年度)の取組に活かし、さらに本取組を発展させていく予定です。
報告
平成22年3月6日(土)にキャンパスイノベーションセンター(東京)にて、教育GPシンポジウム「目標達成型大学教育改善と山口大学におけるFD活動」と題し、平成20年度に教育GPに採択された「目標達成型大学教育改善プログラム−ラーニングアウトカムズを重視した大学教育改革の組織的取り組み−」の2年間にわたる本学の取組の成果と課題について報告いたしました。
また、現在、全国の大学で導入されつつある「目標達成型の大学教育改善」の課題と今後の展望について、この分野における有識者の方々に集まっていただき、関係者相互の議論を深めるためのパネルディスカッションを開催いたしました。
最初に、岩部浩三大学教育センター長による開会の挨拶のあと、川嶋太津夫氏(神戸大学大学教育推進機構教授)より「目標達成型大学教育改善と大学改革」と題し、大学及び大学を取り巻く環境変化から始まり、アクティブ・ラーニングとアウトカムを重視した学生の主体的な学習の進め方や評価、また、カリキュラムマップのモデルも示されるなど、広範な範囲を網羅した講演をしていただきました。また、諸外国の進捗状況も引き合いに出され、大学改革がそれぞれの国の特徴を出しながら、各国で取り組まれている様子も紹介していただきました。
次に、岩部浩三大学教育センター長が「目標達成型大学教育改善と組織的取り組み」と題し、本学がこれまで全学で進めてきた教育改善の取組についての特徴、概要及び平成22年に推進する予定の教養教育と専門教育を統合したカリキュラムマップやカリキュラムフローチャート、シラバスについて、問題点も含めて報告し、PDCAサイクルが機能している例として、教養教育科目「情報」を取り上げて説明を行いました。また、今年度から導入された出席確認システムや障害学生支援FDの取組および成果についても報告いたしました。
最後に、「アウトカムズ重視の大学教育改善と課題」というテーマのもと、講演者の川嶋太津夫氏、岩部大学教育センター長に加え、沖裕貴氏(立命館大学教育開発推進機構教授)、末富喜昭氏(山口日産株式会社代表取締役社長・当教育GP外部評価委員長)によるパネルディスカッションが行われました。
まず、沖裕貴氏から、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーに象徴される「目標達成型大学教育」について、立命館大学を中心に全国の大学の取り組みの様子を紹介していただきました。つづいて、末富喜昭氏から、午前中行われた山口大学の「目標達成型の大学教育改善」について、外部評価委員会による評価の概要の紹介がありました。また、シンポジウムの初めにご講演をいただいた川嶋太津夫氏からは、会場からの質問に対する回答を中心にお話をいただきました。その後、岩部大学教育センター長から、山口大学での実際の取り組み様子や、達成度の改善例について紹介があり、小嶋直哉副学長の挨拶でシンポジウムを閉会いたしました。
今回、年度末の入試日程や行事が立て混んでいる中、全国から80名近い先生に集まっていただき、大学教育改革を巡って大変熱心な討論が行われたことは、主催した者として今回のシンポジウムを開催してよかったと感じています。参加者からのアンケートを拝見しても、それぞれの大学が実にさまざまな努力を積み重ねながら大学教育の改革に取り組んでいる一方で、多くの問題や課題に遭遇している様子を垣間見ることができました。今回のシンポジウムでは本学がここ6年間に取り組んできた教育改革の様子をありのままに報告するとともに、その改革の過程で見えてきたさまざまな問題や課題について、シンポジウムの中での議論を通じて、シンポジウムに参加された先生方と共有できたことが今回のシンポジウムの最も大きな成果であると考えています。このような情報交換を通じて、日本の大学全体の教育改革が少しでも前進できれば、今回のシンポジウムはそれなりに意義があったのではないかと考えています。