無線LAN技術によるスマート商店街の構築と観光回遊データ連携分析に基づく活性化方針立案への展開
2019年採択プロジェクト紹介(3)
プロジェクト名:無線LAN技術によるスマート商店街の構築と観光回遊データ連携分析に基づく活性化方針立案への展開
研究代表者:松野 浩嗣 教授(創成科学研究科(理))
概要を教えてください。 山口市でもそうですが、地方都市にある多くの中心商店街が衰退傾向にあり、IT を使った活性化活動が各地で行われています。山口市内においても大手通信系企業によって公衆Wi-Fiの設置がされています。利用者はネットに繋ぐためにWi-Fiにアクセスしますが、そのデータ(滞在時間や移動などの回遊情報)は蓄積されており、それがビッグデータとして活用されることになります。私の研究室では、山口市の受託研究で平成27 年度にオープンソースソフトウエアを活用した公衆Wi-Fi システムを開発し、現在、香山公園と菜香亭で運用中です。今年度、開始時に利用者の性別や年代などの属性を取得できる機能を加え、さらに、アクセスポイントに接近したスマホなどの端末を自動検出し、その履歴を記録できるようシステムを拡張しました(端末検知Wi-Fi システム)。これにより、来客者が興味を持ちそうな販売情報を、入店時にスマホに表示することなど、アプリ無しに利用者属性に応じた情報提供ができるようになりました。 プロジェクトを計画しようと思ったきっかけは何ですか?これまでに山口市の佐山地区において災害時の無線LANによる情報共有ネットワークを作ってきましたが、これを「被災情報共有」から「商店街活性化」へ応用しました。山口市出身であるので、私のできることで地元の山口を元気にできないものかと。また、概要でお話しましたが、Wi-Fiにアクセスした際のデータは様々な情報があり、それをどうすれば、商店街の活性化に繋がるかを考えました。 具体的にどのようなことをするのですか アプリを入れずにスマホなどの端末を検出する機能(無線LAN による端末検出機構)を中市商店街の一部店舗等に導入し、実用的場面での動作検証を行って、それ以降も一部店舗で継続して運用し実用化を行い、商店街全体に拡張します。2018 年3 月に、株式会社街づくり山口の協力を得て、マルシェ中市(マルシェ)とコミュニティホールNac(Nac)に無線LAN アクセスポイントを設置するための工事(有線LAN を含む)を行いました。これからは中市商店街アーケード全体で無線LAN アクセスを可能にするための工事を行い、その後、スマホ検出のための機能をインストールし、実験範囲を拡大させます。また、店舗に入ってきたスマホを検知し、そのスマホのブラウザに表示させるweb システムを導入し動作検証し、街づくり山口と共同してマルシェとNac の利用が促進されるような、実験店舗用web システムのコンテンツを製作し、その効果を検証します。その後、webサービスに参加する店舗を募集し、その店舗にあったコンテンツを作成し、より多様な店舗から多くのデータを取得します。 最後に一言お願いします。この事業は、一言でいうと「データの地産地消」です。地元で自分たちで取得したデータは自分たちで活用する、ということです。このプロジェクトは山口大学が先導し、地域活性化を担う街づくり山口、地元のインターネット通信会社や、電気工事会社やIT 機器販売店など、オール山口の体制で実施し、取得したデータも大手企業に渡すことなく地域で活用する取り組みです。本学が協定している萩市、長門市、美祢市、周防大島町などを始めとする県内他市町へも展開していきたいです。 |