研究内容 - 山口大学研究拠点群形成プロジェクト 植物ロバストネス

研究内容 member

植物ロバストネスを支える気孔開閉制御- 武宮研究班

研究代表者

山口大学大学院創成科学研究科(理学系学域)・准教授
武宮 淳史

イメージング・プロテオーム解析支援

気孔は陸上植物の表皮に存在する孔であり、その開閉を通じて光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散を介した水の消費を制御しています。
気孔の開閉は光や乾燥ストレス、病原菌、葉内
CO2濃度、概日時計など、様々な外的・内的要因によって制御されますが、その分子メカニズムについては不明な点が多く残されています。
本研究項目では、サーマルイメージングやマルチオミクス解析、ライブセルイメージングなど、多角的アプローチを駆使して、光による気孔開口を中心として、気孔開閉の厳密な制御メカニズムを明らかにします。
気孔開閉の制御は植物の成長と生存に必須であり、そのメカニズムの解明と人為的制御は、高い光合成能力と環境適応能力を有する植物の創出に貢献することが期待されます。

コムギの節水型乾燥ストレス耐性機構 – 妻鹿研究班

研究代表者

山口大学大学院創成科学研究科(農学系学域)・准教授
妻鹿 良亮

メタボローム解析支援

水は有限であり貴重な資源です。
日本に住まう私たちは普段水の重要性をそれほど多く考える機会はないですが、世界を見渡すと水源を取り合って紛争が起こったり、水不足によって営農が制限されている国さえあります。
私たちはその貴重な水資源を節約しつつも、収量を落とさない形質(節水型耐乾性形質)を先行研究において発見しました(Nature Plants 2019)。
また、植物では土壌の水の枯渇に応答して合成や分解される代謝物が知られており、これらが節水とどのように関わるのか、そのメカニズムの解明と、これらをバイオマーカーとして、節水型耐乾性形質を自然交配系統から簡便に選抜する方法を開発する研究を行います。
また、他のグループと連携して気孔の厳密な調節やストレス応答性の代謝物を利用した高い節水性をもたらす遺伝子の探索および新しい系統の作出も目指します。
節水は少しでも水が存在すれば栽培化を可能にするため、砂漠をはじめとした極限環境、遠い将来、水が存在する地球外惑星での作物の栽培化に貢献できる切り札となることを期待しています。

植物の「日常」を支える抗酸化防御機能 – 真野研究班

研究代表者

山口大学研究推進機構・教授
真野 純一

メタボローム・リピドーム解析支援

植物はビタミンC,ビタミンE,カロテノイド,フラボノイドといった抗酸化物を豊富にもっており,私たちはこれらを摂取し,体内の活性酸素解毒に役立てています。
では植物は何のために抗酸化物をたくさん作っているのでしょうか。
植物の光合成では,光エネルギー利用過程で大量の酸素が発生し,葉の中では動物細胞とは比べものにならないほど大量の活性酸素がつねに生成しています。植物の豊富な抗酸化物はこの活性酸素から自分の身を守るために不可欠なものと考えられます。
活性酸素から派生する活性カルボニル種など多種類の毒物に対しても,植物は解毒機構を何重にも備えていることがわかってきました。
本研究では,植物の「普通の」生命活動を支えている抗酸化防御機構の全貌を明らかにし,ストレスに強い植物の開発の基盤となる新たな知見を提供することを目指します。

植物の「香り」化合物を用いたストレス応答 – 松井研究班

研究代表者

山口大学大学院創成科学研究科(農学系学域)・教授
松井 健二

リピドーム解析支援

植物はストレスを受けると葉や根から特有の香り化合物を放散し、ストレスの原因となる植食者や病原体を撃退しようとします。
このとき、隣接する植物がこの香りを感じることができたなら、その植物は危険が隣にまで迫ってきたことを知り、身構えることができるはずです。
植物は香り化合物を放散するだけでなく感じることができ、このように身構えることでストレスにより素早くより確実に応答します。
では、植物はどのようにして香りを感じるのでしょうか?実はその仕組みはほとんど分かっていません。
植物が香りを感じる仕組みを明らかにすればその仕組みをうまく活用してストレスに強い植物に育てる栽培方法を確立できるかも知れません。
この研究では、植物の「嗅覚」とも言える、香り化合物を感じる仕組みを明らかにし、植物が危険を察して身構える能力をうまく活用して頑健な植物の栽培手法を構築するための基盤を創り上げることを目的としています。

共同研究者

東京農工大学大学院生物システム応用科学府(BASE)・教授
研究内容/乾燥ストレス応答機構

梅澤 泰史プロテオーム解析支援

筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター・助教

研究内容/植物による大気中有機低分子の取り込み・変換メカニズムの解明

杉本 貢一
オミクス情報解析支援

連携研究者

執行 正義 山口大学大学院創成科学研究科(農学系学域)・教授
木股 洋子 山口大学大学院創成科学研究科(農学系学域)・教授
柴田  勝 山口大学教育学部学校教員養成課程教科教育コース理科教育選修・教授
三角 修己 山口大学大学院創成科学研究科(理学系学域)・教授
【プロジェクトおよび研究内容に関する問い合わせ先】
probustness(at mark)yamaguchi-u.ac.jp ※(at mark)を@に代えてお使いください。
PAGE TOP