research results 梅澤泰史教授と武宮淳史教授らの研究成果がScience Advances誌に掲載されました
東京農工大学の梅澤泰史教授と植物細胞シグナル学グループの武宮淳史教授らの研究グループが、植物が乾燥にさらされた際に水分損失を防ぐために行う気孔の閉鎖メカニズムの一端を明らかにしました。
植物の気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みを担うとともに、蒸散を通じて葉面温度を調節する等の重要な役割を果たしています。しかし、乾燥ストレス下では水分損失の抑制が最優先となるため、植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)がはたらいて気孔を閉鎖します。この重要な防御反応についてはこれまで多くの研究が進められてきましたが、依然として未解明な点が残されていました。特に、ABA処理後に孔辺細胞内でカルシウムイオン(Ca2+)濃度が一過的に上昇し、それが気孔閉鎖につながることは四半世紀も前から知られていたものの、その仕組みは明らかになっていませんでした。
今回、共同研究グループは、ABAによる気孔閉鎖シグナル伝達に関わる新たなプロテインキナーMAP4Kを同定し、このMAP4Kが孔辺細胞内におけるCa2+濃度の上昇を制御することを見出しました(図1)。これにより、長年未解明であったABAによるCa2+濃度の制御メカニズムに光を当てることになりました。本成果は、乾燥条件下で迅速に気孔を閉鎖し、水利用効率を向上させる耐乾性作物の開発など、農業分野への応用が期待されます。
本研究成果は、12月19日付で米国科学誌「Science Advances」に掲載されました。

図1.SnRK2キナーゼとMAP4KキナーゼによるABA誘導性気孔閉鎖のシグナル伝達モデル
植物の葉の表面には「気孔」と呼ばれる小さな穴があり、開閉することで水分の蒸発を調節しています。乾燥などの環境ストレスを受けると、植物ホルモンの一種であるアブシジン酸(ABA)が働き、気孔を閉じて水分の過剰な損失を防ぎます。気孔では、ABAの合図を受け取ったタンパク質が次々と別のタンパク質を活性化し、最終的に細胞膜にあるカルシウムチャネルが開きます。このとき細胞内に流入するカルシウムが、気孔を閉じるきっかけとなります。本研究で明らかになったMAP4K1/2は、この気孔閉鎖の仕組みの中で重要な役割を担っていることが示されました。
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/weekly/46348/index.html
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adt4916







