カルト集団・過激活動集団
信教・思想の自由は憲法で保護されています。もちろんそれらは自由であるべきです。 しかし、そのことを逆手に取り、世の中には嘘や違法行為を勝手な解釈で「良し」とするカルト集団や反社会的活動をする過激活動集団も存在します。
何のために生きているのだろう。私はこれでいいのだろうか。社会はこの方向でいいのだろうか。こうした問いや悩みは、青年期に多く持つものです。そうした問題意識を巧みに突いて、カルトは、近寄ってきます。そして、教祖や集団の欲望を満たすために、私たちを虜にします。そうしたカルトの危険性を察知するとともに、十分認識しなければなりません。
実際、本学でも起こっていることですが、ボランティアやスポーツなどカルトと関係のない勉強会の形を語り、一見とても親切で優しい人達があなたに近づいてきます。そのうちに、ゴールデン・ウィーク近辺の短期セミナーなどに勧誘されますが、これがカルトの第一歩です。これに参加してしまえば、後は夏休みの長期セミナーに誘われ、そこまで深入りすると、マインドコントロールにより、あなたはカルトから抜け出ることが難しくなります。
カルトは「いろんな大学が加盟している楽しいサークルです。あなたも入りませんか?」とか、「自分の性格を見つめて新しい自分を発見しようよ」などとも言いますが、山口大学の公認サークルではありません。また、名前や連絡先を知られるとアパートに訪問され、しつこく勧誘されるケースもあります。
もし、短期セミナー等に勧誘されたり、しつこい勧誘を受けたりした場合は、直ちに所属学部の学務係か学生支援課へ連絡してください。
(1)カルトとは教祖や集団の私利私欲を満たそうとすることです
カルトとは、宗教の名を借りて教祖や集団の私利私欲を満たそうとすることです。
カルトとは、特定の教義や、ある種の想定される教祖像などから類型される集団を指すものではありません。つまり、変わった教義や風変わりなスタイルが、カルト集団ということではありません。教義やスタイルが問題なのではなく、むしろそれらを利用して会員を募り、集団や教祖の個人的な欲望を満たすために、身体的・精神的・経済的などの様々な形で被害をもたらす集団が、カルトという集団といえます。
(2)マインドコントロールにより被害が増大していきます
カルトの被害は、マインドコントロールにより増大していきます。
カルト集団は、自発的な自分の意志で入会・入信しているように誘導しながら、いつの間にかその人の思考や行動を集団の利益のためにすり替えてしまうものです。その結果、その人の思考は停止し、集団や教祖へ絶対的に、服従することになります。
カルトは巧妙で、それに深入りすると誰でもがマインドコントロールされてしまいます。そして、高額な献金や奉仕活動を強要されます。また、身体を拘束し自由が奪われ、外部との接触や外の情報を遮断されることも起こってきます。
(3)具体的な被害
社会的なもの
地域では宗教施設の誘致に対する反対運動、既設の施設に対しては退去運動が生じ、地域住民が精神的、肉体的、経済的負担を強いられています。
個人的なもの
<身体的被害>
教団の批判者・反対者に対して圧力をかけてきます。直接、自宅を訪ねて来たり、内容証明郵便などで警告文・抗議文を送りつけたりします。夜中に無言電話をかけてくることもあります。甚だしい場合は拉致、監禁あるいは暴行、傷害、殺人事件まで起こしたケースもあります。
<精神的被害>
途中で脱会したくなっても、脅しに近い圧力を受けて脱会させてもらえません。脱会できたとしても、マインドコントロールによって教祖に対する絶対的忠誠心や恐怖観念などが抜けず、長期の精神的後遺症に悩まされ続けることもあります。正常な人間関係が結べず、離婚、親子離別、交友関係の崩壊などに至ることもあります。
<財産被害>
姓名判断、因縁・タタリの話で壷や印鑑、仏壇、宝塔など高額な商品を買わされることがあります。巨額な献金・お布施などで生活に困窮したり、借金を繰り返したり、最終的には全財産を失ったりすることもあります。(霊感商法など)
(4)あなた自身も加害者になります
カルトの恐ろしいところは、それに引き込まれてしまうと、あなた自身も加害者になることです。
様々な訴訟が起こされている霊感商法や使い道を偽った募金活動などにあなた自身が参加し、他の人からお金を巻き上げる側になってしまうのです。
(5)勧誘のパターン
以下のように勧誘してきます。
・とても親切で優しく、あなたのことを心配して面倒を見てくれます。
・「意識が高い」、「あなたは特別だ」など賛美の嵐でその気にさせます。
・知的好奇心をそそるような誘いをしてきます。
(6)まだ入会していないがどうしたらいいのか
・カルト集団の怖さを知っていることが大切です。
・日頃から家庭や地域でそれらの知識について話し合っておきましょう
・誘った人がどんなに魅力的で親切で親しい人でも、おかしいと思ったらハッキリ断り、あいまいな返事をしてはいけません。
・入信・入会したくなっても家族や友人に相談して1か月以上決断を延ばしてみましょう。
・関連書や資料を入手し、その実態を知る努力をしてください。特に、マインドコントロール関連の書籍を読んでおくことが必要です。
・知人が入会しようとしていたら、まず、焦らずに、入会しようとしている本人の考え方に耳を澄ませて話を聞いてください。
そのとき、本人の考え方を全面的に否定しないで、時間をかけて冷静に話し合うことが大切です。
(7)入会してしまったら
セミナーや、泊まり込みの合宿に参加させられます。脱会できないよう心理的にコントロールされ、その状態が進むと学生生活よりも団体の活動に執着するようになります。
いったんマインドコントロールの状態に陥ると、本人にはその意識がなく、家族や周囲が苦悩することになります。専門家ですら呪縛を解くことが難しいとされています。
(8)家族や知人が既に入会してしまった場合
本人自身が「おかしい」と気づくのが最も良いのですが、マインドコントロールによって、客観的な判断ができなくなっているケースが大半です。したがって、家族や親しい友人が根気よく本人に話を続けることが重要になります。
・何度も誘いに来られて気の毒だから、いい人だから、「まあいいか」では入信しないでください。迷ったときには、専門家に相談してください。
・直感的におかしいと思ったら、キッパリ、ハッキリ断りましょう。
・第三者の専門家に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。決して自分の判断だけで対応しないでください。
・脱会した後も社会復帰を急がないことが大切です。本人を受け入れることのできる体制(居場所)を構築することが必要です。
・突然の訪問があり、そしてだんだん深みにはまっていきます。もしかしてカルトの誘いを受けているかなという疑いがあれば、各学部学生担当係(学務係等)へ直ちに連絡してください。