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山口大学 大学院 創成科学研究科 / 工学部 応用化学科  堤 宏守(電子機能材料化学)研究室のホームページです。

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会社方針Research Projects

研究方針

私たちの研究グループでは高分子化学・電気化学を基礎として、新しい特性を持った機能性マテリアル(高分子材料や有機・無機材料)を「生み出すこと」を中心に研究しています。ここで言う、「生み出す」は新しい化合物を合成するということだけに捉われず,既にある化合物であってもその形状を変えたり,複数の化合物を混合・複合化したりすることにより新材料を創出することを意味します。

当研究室での研究の進め方の特徴は、自分たちの手で研究対象となる機能材料の調製からキャラクタリゼーションまで行い、更に一歩進んで、応用を視野に入れた材料評価までを行うことです。このため、基礎的な有機合成技術や電気化学測定から専門的な材料の評価手法まで幅広く習得することができます。


2020年度の最新の研究概要をまとめたパンフレットはこちらからダウンロードできます。


最近の主な研究テーマ


電界紡糸法を用いた新しい機能を持つ繊維などの開発

電界紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いると繊維径数100nm 程度のナノファイバー(極細繊維)が比較的容易に作製できます。この方法を用いて様々な機能性高分子ナノファイバーやその不織布を作製しています。繊維化する対象は合成高分子に限らず、例えば、硫黄も高温溶融状態で電界紡糸を行うことで極細繊維化でき、不織布が作製可能です。現在、この硫黄ナノファイバーを電池の電極活物質として応用することを検討しています。その他、生体適合性高分子から成るナノファイバーを用い、医療材料への応用を目指した研究も行っています。

(参考文献)
H. Tsutsumi et al., ECS Trans., 35, 49 (2011).
S. Hosogai et al., J. Power Sources, 194, 1213 (2009).

金属極細チューブの調製と応用研究

上記の電界紡糸法で得られた高分子ナノファイバーを鋳型にして、無電解めっき法という方法でファイバー表面に金属や金属酸化物を析出させた後、鋳型のファイバーを加熱分解もしくは溶媒抽出により除去すると金属・金属酸化物のナノチューブが得られます。
このような金属,あるいは金属化合物極細中空繊維は,高性能な電池用電極,触媒,中空部分を用いた物質輸送,物質分離などに応用できると考えられており,私たちも様々な応用分野を視野に入れた研究を行っています。

(参考文献)
H. Nakamoto et al. Materials Letters, 136, 26 (2014).
町田ら,表面技術, 60, 357 (2009).

高性能二次電池のための新しいポリマー電解質の開発

二次電池を電気自動車用や定置型電力貯蔵用に大型化する際、通常の可燃性液体電解質の使用は安全性の面で問題視されています。そこで、我々は液体電解質に代わる不燃性ポリマー電解質の開発を行っています。固体のポリマー電解質を用いることで、電解質の液漏れ防止、電池の軽量化や薄型化,形状の自由化も可能となります。
しかし、一般のポリマー電解質はイオン伝導性が低いことが課題です。高性能二次電池を実現するため、当研究室では様々な分子設計により高いイオン伝導性を示すポリマー電解質の研究開発を行っています。

(参考文献)
Y. Nakano et al. Solid State Ionics, 262, 774 (2014).
鈴木ら,高分子論文集 70, 10 (2013).
R. Shibutani et al., Solid State Ionics, 202, 369 (2012).
R. Kido et al. Electrochim. Acta, ASAP (2015). DOI: 10.1016/j.electacta.2015.01.067


ポストリチウムイオン電池の新規正極材料、電解液の開発

最近、リチウムイオン電池に代わる新しい蓄電デバイスとして高いエネルギー密度を有する電池の実用化への期待が高まっています。これまで様々なタイプ電池がポストリチウムイオン電池として提案されてきましたが、我々はその中でもリチウム硫黄電池、リチウム空気電池やマグネシウム等の多価金属を用いた新規二次電池に注目して研究を行っています。
このような新しい電池の実現には従来のリチウムイオン電池とは異なった考えに基づく電極材料、電解液の開発が重要となります。我々のグループでは現在、具体的な研究例として、(i) 新規硫黄化合物を用いた硫黄系正極、(ii) 新規マグネシウム系電極材料・電解液、(iii) リチウム硫黄電池、リチウム空気電池に適したイオン液体系電解液の開発などに取り組んでいます。




(参考文献)
K. Ueno et al. J. Phys. Chem. C, 117, 20509 (2013).
K. Ueno et al. Phys. Chem. Chem. Phys., 17, 8248 (2015).



堤宏守研究室
(電子機能材料化学)
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山口大学工学部 応用化学科

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