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2025.01.16

抗がん剤ドキソルビシンによる心毒性に対する効果的な予防法を開発


 山口大学の研究グループは、抗がん剤ドキソルビシンによる心臓への副作用(心毒性)を、既存薬ダントロレンの短期投与で予防できることを発見しました。
 ドキソルビシンは多くのがん治療に有効ですが、心毒性という重大な副作用があり、その使用量が制限されることが課題でした。本研究では、ドキソルビシンが心臓の細胞にある2型リアノジン受容体(RyR2)に結合し、カルシウムイオンの過剰な漏出を引き起こすことで心毒性が発症するメカニズムをマウスで証明しました。
 さらに、ダントロレンの併用によりRyR2の構造が安定化し、カルシウムイオンの漏出が抑えられ、心機能の低下が抑制されることを明らかにしました。
 この発見は、ダントロレンを心毒性の予防薬として臨床応用するドラッグリポジショニングに繋がる重要な成果です。本研究は、「JACC: CardioOncology」に掲載されました。


  • 先進ゲノム編集治療研究部門 
  •    佐野 元昭(器官病態内科学講座)
  •    中村 吉秀(器官病態内科学講座)
  • タイトル:Concomitant Administration of Dantrolene is Sufficient to Protect Against Doxorubicin-Induced Cardiomyopathy
    (ダントロレンの併用はドキソルビシン心筋症の予防に十分である)
  • 著者:Yoshihide Nakamura, Takeshi Yamamoto, Shigeki Kobayashi, Takeshi Suetomi,Hitoshi Uchinoumi, Tetsuro Oda, Motoaki Sano, Masafumi Yano
    (中村 吉秀、山本 健、小林 茂樹、末冨 建、内海 仁志、小田 哲郎、佐野 元昭、矢野 雅文)
  • 掲載誌:JACC:CardioOncology
  • 掲載日:2024年12月10日19時(UTC)
  • DOI:https://doi.org/10.1016/j.jaccao.2024.10.011
  • <研究に関すること>
  • 山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学講座
  • 中村 吉秀(なかむら よしひで)
  • T e l:0836-22-2248
  • E-mail:yoshi44@(アドレス@以下→yamaguchi-u.ac.jp)
  • 研究者情報:https://researchmap.jp/yoshihide44
  • <広報に関すること>
  • 山口大学細胞デザイン医科学研究所(学術研究部ライフサイエンス支援課研究所係)
  • Tel:0836-85-3065
  • E-mail:sh088@(アドレス@以下→yamaguchi-u.ac.jp)
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