01.
細胞デザイン医科学研究所の設立背景
細胞デザイン医科学研究所は平成28年に発足した再生・細胞治療研究センターと令和4年に発足した高度ゲノム編集治療・創薬研究拠点が学際融合した研究拠点を母体とし、令和5年10月に発展的改組して設立しました。
02.
再生・細胞治療研究センターの取り組み
再生・細胞治療研究センターは山口県「再生医療研究開発拠点機能強化事業」(平成28年)による補助を受け、
以下の取り組みを行ってまいりました。
・研究シーズの臨床開発
・医療用細胞培養装置の自動化を含む細胞培養関連技術の開発
・国立大学初の大学院課程「再生医療・細胞療法のための臨床培養士育成コース」における高度専門人材育成
03.
産学公連携による研究成果と実績
企業と連携しながら科学技術振興機構(JST)「COI-AS」や、日本医療研究開発機構(AMED)「次世代がん医療創生研究事業」や「革新的がん医療実用化事業」等の獲得実績を持ち、特に、文部科学省補助金事業「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」(平成29年度-令和3年度)では山口県との共同申請により採択されました。
産学公連携にて「革新的コア医療技術に基づく潜在的アンメット・メディカル・ニーズ市場の開拓および創造」に取り組み、最終評価では「自己完結型肝硬変再生療法」の医師主導治験(1件)やPRIME CAR-T細胞療法の臨床治験(3件)の実施、臨床培養士の育成等の実績が認められ、最高の「S」評価を受けました。
04.
高度ゲノム編集治療・創薬研究プロジェクトの取り組み
高度ゲノム編集治療・創薬研究プロジェクトはAMED「創薬支援推進事業 創薬ブースター」等の支援を受けて、ゲノム配列の変異により引き起こされる遺伝性難治疾患に対して国産の高度ゲノム編集技術を用いて、組織的な医獣連携により創薬の臨床開発を進めてまいりました。また、広島大学ゲノム編集イノベーションセンター(山本卓センター長)との包括連携協定により、国産ゲノム編集技術の医療・獣医療への実装研究に取り組んでいます。
05.
研究所の目指す未来
これらの研究開発活動を通じて生み出してきた卓越した国産医療技術の創出と研究成果を社会実装につなげるための強固な基盤を拡張・発展させるために設立された細胞デザイン医科学研究所は、がんや遺伝病などの難治性疾患に対して革新的治療法の開発と創薬展開に向けてさらに邁進してまいります。
また、最先端医療技術の創出と、その研究成果の伴侶動物への応用、さらにその成果を人医療へフィードバックする好循環を構築することで、多くの患者を治癒に導くことを目指すとともに、人と伴侶動物が健康で長生きし、共生する社会づくりへ貢献します。
山口大学細胞デザイン医科学研究所
所長
玉田耕治
細胞デザイン医科学研究所は、山口大学の全学組織である大学研究推進機構の一員として活動を行なってきた再生・細胞治療研究センター(平成28年発足)と高度ゲノム編集治療・創薬研究拠点(令和4年発足)が学際的に融合した大学附置研究所として令和5年10月に設立されました。
山口大学が誇る世界最先端の細胞デザイン技術及びゲノム編集技術を活用し、人や伴侶動物のための創薬開発や高度医療専門人材の育成を目指して、医学及び獣医学の分野における最先端の基礎研究や臨床開発、データサイエンス研究に取り組む研究者が集結しています。また、本研究所は自治体や大学発スターアップ企業、製薬企業、製造業、VC・金融機関等の産業界と有機的に連携し、人や動物に対する臨床研究成果を相互にフィードバックすることで効果的な研究開発を実現し、山口発医獣循環型イノベーション・エコシステムを構築することを目指しています。
本研究所は先進細胞治療研究部門、先進ゲノム編集治療研究部門、医・獣トランスレーショナル臨床研究部門、システム医学情報研究部門の4つの部門からなり、「人と伴侶動物が健康で長生きし、共生する社会の実現」というビジョン達成のため、分野横断的な研究開発を推進します。また、産学公一体となって取り組むことにより、大学発スタートアップ企業の創出や企業誘致、中型動物の高度治療拠点形成等を推進し、人と動物のヘルスケア領域における国際課題の解決に取り組むと同時に、地方創生にも貢献する研究所を目指します。さらに、医学・獣医学における基礎、臨床研究を志す若手研究者の育成にも取り組みます。本研究所は多くの研究者、研究機関、企業とのコラボレーションを広く推進しており、我々の活動に興味のある研究者や組織の方に積極的に参加して頂けることを心から期待しています。
多様な人材が本研究所に集結し、相互に協力しつつ世界最先端の細胞デザイン研究と開発に自由闊達な雰囲気で取り組み、共に成長できることを願っています。