細胞デザイン医科学研究所体制図
部門長挨拶
先進細胞治療研究部門
卓越した
細胞デザインの叡智を集結し、
多種多様な
革新的細胞治療シーズを創出する
医学系研究科(免疫学講座)・教授玉田耕治
先進細胞治療研究部門では、細胞デザイン医科学研究所の強みであり、黎明期から長年培ってきた「細胞をデザインする」画期的技術を駆使し、現在の治療法では解決できない難治性疾患克服に向けて、大学発スタートアップ企業や製薬企業、製造業、金融機関、関連病院、自治体等と有機的に連携して革新的な細胞治療法の臨床開発を推進しています。難治性固形がんに顕著な奏効を示すPRIME CAR-T細胞療法や間葉系幹細胞による再生療法、他家積層繊維芽細胞シートによる難治性皮膚潰瘍治療など、国内トップレベルの多様な細胞腫の医療製剤の臨床研究シーズを誇ります。
また、本研究部門では、細胞の自動培養装置や、細胞評価方法や培地、保存・運搬法などの細胞製造関連技術など、製剤化には欠かせない技術開発を進めることで、患者さんのもとへ届く「細胞をつくる」取組も実践しています。加えて、臨床培養士や医科学者などの高度医療専門技術者である「細胞スペシャリストを育てる」取組を通じて、次世代の医療製剤のイノベーション創出に貢献します。
医・獣トランスレーショナル臨床研究部門
犬や猫の動物医療と医療の
トランスレーションの
循環を目指して
共同獣医学部(臨床獣医学講座)・教授水野拓也
犬や猫の伴侶動物は我々にもっとも身近な存在であり、共に生活することで我々の生活を豊かにしてくれています。犬や猫にも、遺伝性疾患からがんに至るまで、ヒトの疾患に類似した難治性疾患が多く存在しています。また、マウスなどの実験動物と異なり、犬や猫ではそれらの疾患が自然に発生することから、ヒトの疾患の自然発症モデルとしても認知されつつあります。さらに近年は、犬や猫を家族同様の伴侶として考える人が増えたため、獣医師にも高度医療レベルの治療が求められるようになっています。
医・獣トランスレーショナル臨床研究部門では、最先端の医療技術を伴侶動物医療に適用できるような研究を進めることで難治性疾患をもった動物を救う手段を広げる「医→獣」トランスレーショナル研究を実践します。同時に、倫理的な問題やさまざまな障壁のために医療において実施が難しいような治療法を、伴侶動物にいち早く適用することで、そこから得られた知見を医療に還元する「獣→医」トランスレーショナル研究も推し進め、持続可能な医・獣トランスレーションの循環を作ることを目指しています。
先進ゲノム編集治療研究部門
遺伝病の克服を目指して、
国産ゲノム編集技術を駆使した
医科学研究を展開
医学系研究科(分子細胞生理学講座)・教授宮本達雄
ヒト遺伝病は7,000個以上存在しており、罹患している人の総数は全世界で数億人以上と推定されています。これまでヒト遺伝病に対する治療の多くは、対症療法に留まり、不治の病であるとされてきました。30億塩基対からなる長大なヒト遺伝情報の特定の場所を自在に改変できる画期的なゲノム編集技術の登場によって、ヒト遺伝病は克服できる疾患に変化していくことが期待されています。一方で、実際にゲノム編集技術を医療分野で安全に利用するためには、乗り越えるべき技術的および特許的な障壁が立ちはだかっているのが現状です。
先進ゲノム編集治療研究部門では、国産ゲノム編集技術の開発実績のある基礎医学の研究者やゲノム編集治療の展開を目指す臨床医学の研究者が集結して、ヒトおよび伴侶動物の「遺伝病の克服」という難題に挑んでいます。また、広島大学ゲノム編集イノベーションセンターなど国内における他の研究機関とも連携して、日本発のゲノム編集治療の研究・教育拠点としての発展を目指しています。
システム医学情報研究部門
データ科学を活用した知識統合:
細胞治療研究の
新たな可能性を探る
医学系研究科
(システムバイオインフォマティクス講座)
・教授浅井義之
システム医学情報研究部門では、「生命機能とは生体のダイナミクスである」という考えのもと、システムバイオロジーの観点から、さらにバイオインフォマティクス、人工知能技術の専門知識を融合させ、他の研究部門が生成する細胞デザインに関する実験データの解析と情報の統合を主導し、革新的な細胞治療や遺伝子治療、さらには伴侶動物を用いた治療法の開発を全面的にサポートします。
またシステムバイオロジー、バイオインフォマティクス、人工知能技術という近年発展のめざましい3つの重要なデータ科学技術を統合的に扱い、医科学分野における新たな解析方法の開発と知見の創出に取り組んでいます。それと同時に、データ科学技術に強い医師の輩出を目指して、データサイエンス教育にも注力しています。
本研究部門は、細胞デザイン医科学研究所における部門横断的コラボレーションのハブとして機能し、新たに創出される知見との技術を実用化に繋げることで、疾患治療の新しい地平を開拓することを目指しています。