2025.02.05
遺伝性難病・多発性嚢胞腎の発症を防ぐコレステロールの新機能を発見~コレステロールは細胞の「センサー(一次線毛)」の感度を高く保つ~
山口大学と広島大学、島根大学の研究グループは、細胞のセンサーである「一次線毛」の機能において、コレステロールが重要な役割を担うことを発見しました。
研究では、コレステロールが一次線毛を覆う細胞膜に、細胞外の液体の流れを感知するポリシスチンタンパク質を閉じ込めることで、センサー機能が働くことを明らかにしました。ゲノム編集技術を用いた実験から、コレステロールの不足がこの機能に影響を与え、多発性嚢胞腎などの「線毛病」発症につながることを初めて示しました。
この成果は、コレステロールを一次線毛に供給することが、新しい線毛病の治療法となる可能性を示唆しています。また、一次線毛はがんや精神・神経疾患にも関連するため、今回の発見は、これら難病に対する革新的な創薬研究の進展に繋がると期待されます。

- 先進ゲノム編集治療研究部門
- 板橋 岳志 (分子細胞生理学講座)
- 弘澤 萌 (分子細胞生理学講座)
- 宮本 達雄 (分子細胞生理学講座)
- 論文名:Cholesterol ensures ciliary polycystin-2 localization to prevent polycystic kidney disease(コレステロールはポリシスチン2の一次線毛への局在を保証して、多発性嚢胞腎の発症を防ぐ)
- 著者:Takeshi Itabashi, Kosuke Hosoba, Tomoka Morita, Sotai Kimura, Kenji Yamaoka, Moe Hirosawa, Daigo Kobayashi, Hiroko Kishi, Kodai Kume, Hiroshi Itoh, Hideshi Kawakami, Kouichi Hashimoto, Takashi Yamamoto, Tatsuo Miyamoto(板橋 岳志、細羽 康介(共第一著者)、森田 知佳(共第一著者)、山岡 賢治、木村 相泰、小林 大悟、岸 博子、久米 広大、伊藤 浩史、川上 秀史、橋本 浩一、山本 卓、宮本 達雄(責任著者))
- 掲載誌:Life Science Alliance
- 掲載日:2025年2月3日
- DOI:https://doi.org/10.26508/lsa.202403063
- <研究に関すること>
- 山口大学大学院医学系研究科医学専攻分子細胞生理学講座
- 山口大学細胞デザイン医科学研究所先進ゲノム編集治療研究部門
- 宮本 達雄(みやもと たつお)
- 電話番号:0836-22-2209
- E メール:t-miyamoto@(アドレス@以下→yamaguchi-u.ac.jp)
- <広報に関すること>
- 山口大学細胞デザイン医科学研究所(学術研究部ライフサイエンス支援課研究所係)
- Tel:0836-85-3065
- E-mail:sh088@(アドレス@以下→yamaguchi-u.ac.jp)
