Society 5.0 −サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムが実現する人間中心の社会− の到来に備えて、データ科学の教育の充実が国を挙げて急ピッチで進められています。医科学分野においてもAIを初めとするデータ科学の教育は求められ、またその技術はすでに導入され始めています。当講座は、医学部における教育および医科学研究に近年発展めざましいデータ科学技術を導入し、一歩先へ進めることを目指しています。
2016年10月に山口大学大学院医学系研究科に着任いたしました。2017年4月、これまで長い歴史のある「環境保健医学講座(旧: 衛生学講座)」から「システムバイオインフォマティクス講座」に改称させて頂きました。人工知能(AI)、システムバイオロジー、バイオインフォマティクスを駆使してシステム医学と医用AIを着実に推進するためです。近年文科省をはじめとして推し進められているデータサイエンス教育について、山口大学医学部において率先して当講座が展開し、医学部生が将来データサイエンス医師として活躍するための一助となるように努めています。そのためには、当然ながら、AI、システムバイオロジー、バイオインフォマティクスを医科学に応用した着実な研究が基礎になります。臨床系・基礎系の各講座との共同研究にも力を入れて、当医学部の、延いては日本の医学研究の研究力の向上にも寄与したいと考えています。
AI医学は、早期高精度な診断や治療効果の予測に応用することができます。システムバイオロジーは、生理機能のダイナミクスを数学的に捉え、深く理解することで新治療法の開発などに繋げる強力な解析手法を提供します。生物学的な観点から、生理機能の設計図とも言えるゲノム情報を詳細に解析するバイオインフォマティクスはその基盤となり得ます。AI、システムバイオロジー、バイオインフォマティクスという3DS技術を医科学分野において上手に組み合わせながら、医学部教育と研究にスタッフと共に取り組んでいます。