One Welfare教育研究センター|山口大学 共同獣医学部
法獣医学部門

 法獣医学は動物の状態や置かれた環境を科学的に分析し、動物の不審死や不自然な病態の原因を同定する動物福祉や公衆衛生に大きくかかわる学問分野です。
 人間のwell-beingは動物の健康や幸福(動物福祉)に深く関係すると捉えるOne Welfareの概念に基づいて、本部門では動物福祉を損ねる事象について調査・研究を行っています。


不審死個体の検査(愛護動物、野生鳥獣)

 動物の愛護及び管理に関する法律によって、人間の占有下にある全ての爬虫類、鳥類、哺乳類には適切な飼養管理(適正飼養)を提供することが定められています。適正飼養が提供されない動物は、人間からの物理的あるいは精神的な攻撃をうける積極的な虐待とすべきことが為されない消極的な虐待に陥っている可能性があります。
 人間の占有下にない動物たちであっても、人間によって怪我や死亡が起こります。交通事故など、人間が偶然に野生動物を傷つけてしまうことを、偶発的傷害といい、故意に野生動物を傷つけることは非偶発的傷害といいます。
 本部門では、愛護動物から野生鳥獣までを対象として、虐待や傷害の原因を検査しています。




適正飼養に関する検査

 占有下の動物を適切に管理することは人間の責務です。本部門では各動物種のガイドライン等に基づいて、適正飼養を評価する検査を行っています。適正飼養の視点から、野犬やノネコの取り扱い、エキゾチック動物の飼養管理、多頭飼育崩壊等の問題の検査を行っています。






野生動物の捕獲・救護におけるWelfareの研究

 野生動物は捕獲や救護によって、人間の占有下におかれます。野生動物の中には農産業や人間の住環境を侵害するという理由で捕獲される種がいます。本部門はそのような動物たちの福祉を低下させない捕獲手法や安楽殺の方法を検討しています。

 人間によって傷ついた野生動物(哺乳類と鳥類)を、治療し、彼らが本来生息する環境に還すことを野生鳥獣救護といいます。傷ついた動物たちを救護することは、自然環境で「今」起きていることを知る、重要な手がかりとなります。本部門では傷病鳥獣を対象に、環境汚染物質、感染症、そして人間によってどのような負傷が発生しているのかを、継続して調査することで、人間も動物も健康で幸福に生きることができる環境づくりを目指しています。







〈構成員〉部門長:佐藤晃一