活動概要

プロジェクト紹介

被災ポテンシャルの歴史的変遷の把握【自然災害部門】

土砂・洪水氾濫の長期被災リスクを評価し、高リスクと想定される箇所の地質・地形などの諸条件を明らかにします。それに基づき、衛星リモートセンシング、UAVなどを活用した土砂・洪水氾濫リスクがある箇所を抽出するプロセスを確立します。また、その過程で土砂の移動特性を解明し、土砂供給ポテンシャルを概算する方法を提案します。

時間防災学イメージ

医療・介護施設の水害タイムライン策定支援【リスクマネジメント部門、保健衛生部門】

これまで、宇部市の厚東川流域の医療・介護施設において水害を想定した避難訓練を実施し、避難プロセスについて分析を行っています。一方、2020年7月の九州地方の豪雨災害においては、避難確保計画が策定されていた介護施設で多くの犠牲者が発生しました。そこで、浸水被害のあった施設に対するヒアリング調査や2次避難の調整に当たった施設対象のヒアリング調査を行い、そこから得られた知見や既往の研究成果もとに医療・介護施設のための実効性ある水害避難計画策定支援を実施しました。 具体的には2018年の西日本豪雨災害や2019年の台風19号災害の教訓を踏まえ、①患者や施設利用者が安全に避難するための時間を確保し、②避難後も医療・介護活動が安定的に継続できるような水害避難計画の策定を支援しました。その際、リスクマネジメント部門の研究者の有する水害防災に関する知見や、保健衛生部門の研究者が有する保健・看護に関する知見を活用しました。

また、基礎自治体における防災耐力強化のための災害時避難所機能を検討するため、2021年1月~3月にかけて宇部市内の宿泊施設調査や宇部市職員との研究成果報告会を実施しました。


「まちの減災ナース育成研修」による地区防災福祉コミュニティづくりの支援とモデル開発【保健衛生部門、リスクマネジメント部門】

水害などを想定した防災モデル開発プロジェクトとして、宇部市をフィールドに地域住民及び行政等との協働・共助による校区単位の安全・安心のコミュニティづくりの支援に取り組んでいます。

「まちの減災ナース育成研修」は、小学校区内に在住あるいは勤務している看護職の方を対象として、地区住民の参加や協力を得て開催することで防災と福祉を統合したコミュニティづくりをねらっているもので、山口県内初めてとなる「まちの減災ナース育成研修」を2021年9~12月に下関市で実施しました。この研修のプロセスと結果を参考に、宇部市内においてコミュニティづくりをねらうプロジェクト計画に修正して、2022年度現在研修を実施しているところです。

本プロジェクトは、EBI(Evidence-Based Intervention根拠のある取り組み)を現場に根付かせるための戦略を明らかにする実装研究のフレームワークをもとに計画しており、これにより他地域に横展開可能な防災福祉コミュニティづくりモデルの開発をめざしています。

※まちの減災ナース:
日本災害看護学会が2019年度より指導者育成を開始。 災害平穏期には、地域や地区の防災計画をふまえ行政担当者や住民と共に看護の専門性を生かした減災活動に取り組み、災害発生時には被災地域の住民の健康と生活を支援する役割を担う。

防災に携わる海外研究者とのネットワークの確立【国際防災部門】

山口大学を卒業した留学生を中心に防災に携わる海外研究者とのネットワークを確立するため、2021年3月から年一度のペースで「International Alumni Online Seminar on Disaster Prevention and Environment(山口大学国際同窓防災・環境オンラインセミナー)」を開催し、参加者の多くとSNSを通じて相互に連絡取り合える体制をつくっています。特に東ティモールの研究者とは、2021年4月に東ティモールで発生した土砂災害の緊急報告会やその後のフォローアップ等を通じて密接な関係を築いています。

また、英国のUniversity College London(UCL)と継続的にYU-YCLシンポジウムを開催し、防災、減災に関する様々なテーマで意見交換を行っています。

さらに、JSPS二国間交流事業共同研究において、国際防災部門の部門長がインドネシアのリアウ大学と共同で「泥炭地堆積物の輸送力学の確立」に関する研究を行っており、インドネシア泥炭地の海岸浸食のメカニズムの解明に取り組んでいます。

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