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山口大学医学部附属病院

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女性泌尿器科

女性泌尿器科

女性泌尿器科とは
女性泌尿器科とは、最近できた新しい専門分野で、泌尿器科と婦人科の間の
疾患を取り扱っています。
当科では主に骨盤内臓器脱と腹圧性尿失禁の治療を行っています。

A. 1.骨盤内臓器脱とは?

骨盤の中にある子宮、膀胱、直腸などの臓器がだんだんと下がってきて、最終的には膣を通って、膣壁とともに体外へ出てくる病気の総称です。

2.骨盤内臓器脱の症状は?
骨盤内の臓器が下がってきたり、臓器が外に出てきたりすることで、不快感や異物感などの症状が起こります。膀胱瘤により尿が出にくくなったり、直腸瘤で残便感を生じるなど、下がってきた臓器によって症状も様々です。
日中の活動により徐々に下がってくるため、夕方になるにつれて症状が強くなることもあります。
いろいろな症状で生活の質(QOL)が下がることが一番の問題です。まれに尿が出ないことで腎不全になってしまうことがあります。
3.骨盤内臓器脱の原因は?
出産によって大きく引き伸ばされた骨盤底は3ヶ月程度で徐々に元通りに戻ってゆくが、完全に元通りにはなりません。閉経するころになり女性ホルモンの分泌が少なくなると骨盤底の支えの弱さが症状として現れてきます。
肥満や便秘、立ち仕事なども慢性的に骨盤底に負担がかかる原因となります。
4.骨盤内臓器脱の患者さんは多いのでしょうか?
非常に多い病気です。スウェーデンの調査では出産経験者の44%に骨盤内臓器脱が認められると報告されています。また米国の調査では80歳までに9人に1人が骨盤内臓器脱または尿失禁で治療が必要になるといわれています。このように骨盤内臓器脱はありふれた病気であるといえます。
5.予防方法はあるのでしょうか?
骨盤臓器脱になっていない、あるいは程度が軽いうちであれば、骨盤底筋体操で予防できると考えられています。出産を経験している方、閉経をした方、40代以上の女性は行なってください。
その他、慢性的にお腹に力が加わるようなことをなるべく避けてください。
例えば便秘、喘息、長時間の立ち仕事、きつい服、コルセットなど。
6.どうなったら受診したら良いですか?
臓器が下がることで「困るなあ」「いやだなあ」「気持ち悪いなあ」と思うようになったら受診してください。
7.受診後の検査は何がありますか?
@問診A内診B膀胱尿道造影(鎖併用)CパッドテストD尿流・残尿測定、膀胱機能検査を行います。
8.治療方法はどのようなものがありますか?
@経過観察 
程度が非常に軽い場合は経過を診ます。
A骨盤底筋体操 
治療効果が期待できるのは初期の方です。予防としても有効です。腹筋に力を入れずに肛門や腟をしめる動作を繰り返します。
症状がすすんだ骨盤内臓器脱には効果は期待できません。
Bリングペッサリー 
ペッサリーはリング状の子宮脱矯正用器具で、腟内に留置することにより臓器の脱出を防止するものです。 『異物』を入れておくため、おりもの・出血・違和感・不快感などの副作用や効果が不十分な場合もあるので全ての人に適した治療ではありません。
持病や高齢のために手術が出来ない方、手術を避けたい方に適した治療です。 あくまで補助的な矯正器具なので根本的な治療法ではありません。
Cフェミクッション
新しい治療機器で、下着感覚で履くスタイルのものです。リングペッサリーが合わない方に適しています。あくまで補助的な矯正器具なので根本的な治療法ではありません。
D手術(従来法、TVM)
従来法
日本では現在も多数の施設で実施されている方法です。膣式子宮全摘術+前後の膣壁形成術と呼ばれ、子宮を摘出し、弛緩した膣壁をある程度切除して縫い縮める方法です。再発率が30%程度と高いことが問題とされています。

TVM
2000年フランスで開発された術式です。

骨盤臓器を力のかからない自然な位置に矯正し、その状態を保つようにメッシュで支える手術です。日本では2005年に初めて行われ、急速に普及しつつあります。将来的には標準的な治療法となると思われますが、現在のところ行っている病院はまだ限られています。

膣の壁の下に、ポリプロピレンメッシュのシートを挿入し、そこから足の付け根の小さな傷にメッシュの脚を通して、骨盤底の筋膜や靭帯の代用とします。全て膣からの操作で行い、傷は膣とその周辺に小さな傷6箇所だけです。
良い点
・再発が少ない。
・子宮を取ることなく子宮脱、膀胱脱、直腸脱を同時に治療することができる。
・体への負担が少なく、入院も短期間。
・合併症が少ない。
・健康保険適応である。
悪い点
・長期予後が不明である。
・異物の留置に伴う合併症の可能性があり、時に重篤となることがある。

当科における骨盤内臓器脱に対する手術症例数の推移
     当科における骨盤内臓器脱に対する手術症例数の推移

山口大学泌尿器科では、従来から婦人科と緊密に協力しつつ骨盤内臓器脱手術を行っています。最近ではTVMの治療成績が良好であり、安全に行うことができるため、TVMを選択することが多くなっています。子宮摘除を行うか否かは婦人科との協議の上決定していますが、子宮温存を希望される場合には最大限希望に応じるようにしています。子宮摘除を行う場合でも、TVMは可能です。

B.1.腹圧性尿失禁とは?

咳やくしゃみ、笑う、運動など腹圧上昇時に尿が漏れだしてしまうのが腹圧性尿失禁です。特に中高年の女性に多い病気です。
2.原因はなんですか?
尿道を締める筋肉が弱い、尿道や膀胱を支える筋肉が弱いなどの原因でおこります。妊娠、出産、加齢が主な原因です。
3. どのような症状がありますか?
急に立ち上がった時や階段を上る時、重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみ、笑った時などに尿がもれます。通常、睡眠中にはみられません。
腹圧性尿失禁の約30%の人は切迫性(せっぱくせい)尿失禁(急に強い尿意が出現し、トイレに間に合わず失禁してしまうこと)を合併します。
4.どうなったら受診したら良いですか?
尿失禁があり、嫌だなーと感じたら受診してください。あくまで生活の質(QOL)にかかわる疾患であり、命にかかわる疾患ではありません。

5.受診後の検査は何がありますか?

@問診A内診(ストレステスト)B膀胱尿道造影(鎖併用)CパッドテストD尿流・残尿測定
6.治療方法はどのようなものがありますか?
@ 骨盤底筋体操 
軽症から中等症と判断された場合には、骨盤底筋運動を行っていただきます。
A 尿道スリング手術(TVT、TOT) 
重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。
TVT、TOT
どちらの手術も尿道の下にメッシュのテープを通すという点で共通しています。傷は膣の壁に1.5cmと恥骨上もしくは会陰部の左右にそれぞれ1cm程度です。手術時間は20分程度で、全身麻酔で行っています。入院期間は3泊4日です。簡単な手術で、尿失禁の治癒率が高いため、多くの患者さんに大変満足していただいています。ただし、どちらの手術でも盲目的に操作する過程があり、非常にまれに重篤な合併症が生じることが報告されています。

切迫性尿失禁が合併している場合は、抗コリン剤という薬の内服を行っていただきます。(腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁では治療方法が全く異なります)

骨盤臓器脱や尿失禁といった疾患では、「恥ずかしい」「自分が我慢すれば良いだけだ」という理由でなかなか医療機関を受診されない方が多いようです。しかし、お知らせしたいのは、どちらの疾患も比較的簡単な手術で治療可能だということです。当科で治療された多くの方は「もっと早く治療すれば良かった」とおっしゃっています。高齢化に伴い、女性の人生はますます長くなってきています。治療により元気に生活することが可能になります。生活に支障があったり、症状が気になったりしたらひとりで悩まず、医師に相談してください。

 

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