日本臨床眼科学会報告
N先生
この度、東京国際フォーラムで開催された第77回日本臨床眼科学会(以下臨眼)に参加させていただきました。ここ最近の全国学会への参加はほぼリモート形式でしたが、およそ4年ぶりの現地参加となりました。近年の参加形式のトレンドとして、オンサイトとリモートのハイブリット開催が根付いてきた印象があります。情報をただ受け身でひたすら吸収するのであればリモートが適していますが、積極的に相互ディスカッションを行うのであればやはりオンサイトのほうが盛り上がりますので、どちらの形式が優れているというものではなく用途に合わせて参加スタイルを選択するのが良いと感じています。自分の専門分野に関する学会であればやはりオンサイトのほうが空気を読み取りやすいかと思います。
臨眼の特長の一つにインストラクションコースの存在があります。ハンドアウトもあり専門医取得前はこぞって苦手分野のインストラクションコースを予約したりしていましたが、せっかく学会会場へ足を運んだのであれば興味のある分野の教科書に載っていない情報や研究のトレンド、手法に関する情報を追うのもおすすめです。
今年のインストラクションコースでは、SNSにおいても活躍されている先生方のオンライン眼科研鑽というセッションが新設されたのが印象的でした。現在はSNSを通じて手術や専門医試験、視能訓練士など各カテゴリーにオンラインでのコミュニティが存在しており、今後は無視できない存在となりそうです。強制参加、強制発表を促さないといけないような訴求力の弱い研究会は、今後の専門医制度やスポンサーにもよりますが少しずつ役割を終えていくでしょう。
私の今回の臨眼参加の目的の一つに機械展示があります。最新の手術機器や手術器械、電子カルテ、検査機器を見学し、新しい視野計や手術器具を体験しました。吸引器接続不要の吸水機能のある開瞼器、硝子体カッタータイプの取り回しのよいIAハンドピース、ベントタイプや吸引口面積調整可能なIAなど、機器にも工夫の余地がまだまだあることを知りました。
また九州大学、東京工業大学、順天堂大学、山口大学が開発に参加している眼内内視鏡保持ロボットOQrimo ®(オクリモ)を拝見しました。オクリモを使用することにより、保持した眼内内視鏡をモニターを見ながらフットペダルにて直感的に操作することができます。眼科の手術では、顕微鏡のポジションやフェイコマシーンをフットペダルで操作する文化があることからも受け入れやすいと感じました。筐体はまだまだ大きいですが、緑内障手術でももう一つ手があるとスムーズだと感じるシーンは多く、照明や内視鏡保持に留まらず眼科領域でのロボットアームの需要に応えるツールの礎になればと願っています。