山口大学医学部眼科山口大学大学院医学系研究科眼科学

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ごあいさつGreeting

伝統ある山口大学医学部眼科学教室を引き継いで以来、多くの方々からのご支援を賜りながら、地域の中核病院として、日々研鑽を積んでまいりました。

長年、眼科医として多くの患者様と接する中で、痛感していることがあります。それは、視力がいかに生活の質(QOL)に影響を及ぼすかということです。

人は外界からの情報の80%以上を、視覚から得ているといわれています。そのため、眼疾患を患うと行動に必要な情報を得にくくなり、思ったように活動することができなくなってしまいます。体はどこも悪くないのに、目が悪いために自由に動くことができないというのは大変つらいことで、生活の質を大きく低下させてしまうケースも少なくありません。

私たちが向き合っているのは単に眼疾患ではなく、患者様の生活と人生そのものである。このことを、眼科医は決して忘れてはなりません。視力が回復されたときの患者様やご家族の喜びを目にするたびに、この仕事の素晴らしさと同時に、責任の重さをひしと感じます。

視力を表す英語の1つに、「vision(ヴィジョン)」という言葉があります。ラテン語のvidere(見る)に語源を持ち、視力のほかに「将来の見通し、未来に思い描く姿」という意味もある言葉です。

ここから転じた「ビジョナリーカンパニー(visionary company)」はビジネス界で、高い理念を掲げてチャレンジを厭わず、望ましい将来に向けて邁進する企業のことをいいます。

私たちは医師ですが、目指すところは同じです。日進月歩の医療現場にあって、常に最新の技術・知識を学び取りつつ、患者様とそのご家族の明るい未来を目指して、常に最善の医療を尽くしたい。視力に不安を抱えている方の気持ちに寄り添い、心に温かい灯をともすことができるような存在でありたい。将来に明るい夢を描くお手伝いをしたい。それが、私たちの変わらぬ願いです。

これからも、ここ山口で、患者様と地域の病院から信頼される教室を目指し、誠心誠意の医療を提供してまいります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

山口大学医学部眼科学教室
 教授 木村 和博