第146回山口県眼科医会秋季総会・集談会
- 日時
- 2025年11月29日(土)17:00~20:00
- 場所
- KDDI維新ホール
- 一般講演
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座長:平野 晋司(山口大学)
- 「当院で経験した隔日性内斜視の1例」
次郎丸 光、榎 美穂、吉村 佳子、常信 恵理、横峯 弘隆、稲田 裕子
(小郡第一総合病院) - 「一過性の視力低下をきたした若年女性の1例」
和才 友紀1、湧田 真紀子1、竹中 優嘉2、保田 光輝1、原口 愛子1、三國 雅倫1、東島 史明1、太田 真実1、山本 和隆1、平野 晋司1、木村 和博1
(1. 山口大学 2. 豊田中央病院) - 「落屑症候群に虹彩新生血管を合併した成熟白内障の1例」
徳田 あゆみ1、近藤 由樹子1、木村 和博2
(1.宇部中央病院 2. 山口大学) - 「落屑緑内障に対する単一術者における線維柱帯切除術とアーメド緑内障バルブの手術成績の比較」
石田 悠子、内 翔平、保田 光輝、舩津 法彦、砂田 潤希、吉本 拓矢、芳川 里奈、木村 和博
(山口大学)
- 「当院で経験した隔日性内斜視の1例」
- 特別講演
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座長:木村 和博(山口大学)
『糖尿病網膜症に対する抗VEGF 療法の進展と今後の展望』
久留米大学医学部眼科学講座 教授 吉田 茂生 先生
Y先生
令和7年11月29日にKDDI維新ホールにて第146回山口県眼科医会秋季総会並びに集談会が開催されました。特別講演では久留米大学医学部眼科学講座教授 吉田茂生先生より『糖尿病網膜症に対する抗VEGF療法の進展と今後の展望』と題してご講演いただきました。
ご講演では、糖尿病黄斑浮腫の治療の特徴や複数の新しい抗VEGF薬について、基礎から最新の知見まで幅広くご説明をいただきました。
まず、糖尿病網膜症の病態として高血糖により炎症や虚血が進行し、VEGF(血管内皮増殖因子)などの物質が増加することで血管新生や線維化が生じるという基本的なメカニズムがあり、特にVEGFが血液網膜関門を破綻させ新生血管を発生させるため、このVEGFを抑える抗VEGF薬が現在の標準治療となっているという経緯が説明されました。
治療としては抗VEGF薬の注射のほか、レーザー治療や手術などもありますが、いずれも早期に治療を開始することが極めて重要であることを強調されました。治療の経過が思わしくない要因としては、高齢であること、血糖コントロールが不十分であること、網膜症が重症であることなどが挙げられていました。
後半では新しいタイプの抗VEGF薬について詳しく説明がありました。従来の抗VEGF薬と比べて、より効果が高く、治療の間隔を延ばせる可能性のある薬が複数登場してきており、患者さんの通院負担の軽減が期待されています。ただし、それぞれの薬には特徴や注意点があり、患者さんの状態に応じて適切な薬を選択することが重要とのことでした。
糖尿病網膜症の治療において抗VEGF薬は非常に有用ですが、全身への影響も報告されているため、特に心臓や脳の血管に持病がある方では注意が必要とされています。さらに、薬物治療のみに頼るのではなく、レーザー治療や手術も併用しながら、患者さんごとに最適な治療方針を考えていくことが重要であると締めくくられました。
本講演では糖尿病網膜症の治療について抗VEGF薬を中心に幅広くかつ詳しくご講演いただき理解が深まりました。抗VEGF薬もそれぞれの特徴によって使用すべき症例が異なるとわかり、今後の治療方針の決定の際に参考にさせていただきたいと思いました。また、適切なタイミングで光凝固や手術に踏み切るなど、薬物治療のみに頼るのではなくできる治療すべてを常に考慮することの重要性もわかりました。糖尿病網膜症は日常の診療の中で目にする機会の多い疾患でもあるため、今回のご講演の内容を踏まえて自分でもさらに勉強して診療を行いたいと思います。吉田先生、この度は貴重なご講演をいただき、誠にありがとうございました。





