第144回山口県眼科医会総会・集談会
- 日時
- 2024年10月06日(日)9:30~13:00
- 場所
- セントコア山口
- 一般講演
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座長:山本 和隆(山口大学)
- 「視力障害が硝子体手術により改善した星状硝子体症」
和才 友紀1、吉村 佳子1、榎 美穂1、木村 和博2
(1.小郡第一総合病院、2.山口大学) - 「線維柱帯切開術(眼内法)直後に悪性緑内障をきたした一例」
白石 理江1、能美 なな実1、布 佳久1、平野 晋司2、内 翔平2、舩津 法彦2、木村 和博2
(1.下関医療センター、2.山口大学) - 「緑内障治療中に巨大髄膜腫が発見された一例」
内 翔平、保田 光輝、砂田 潤希、吉本 拓矢、芳川 里奈、岩本 菜奈子、寺西 慎一郎、木村 和博
(山口大学) - 「網膜色素線条に続発した脈絡膜新生血管の4例」
湧田 真紀子1、太田 真実1、舩津 法彦1、青木 連1、東島 史明1、山本 和隆1、平野 晋司1、相良 健2、
木村 和博1 (1.山口大学 2.さがら眼科クリニック)
- 「視力障害が硝子体手術により改善した星状硝子体症」
- 特別講演
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座長:木村 和博(山口大学)
『症例から学ぶ白内障手術』
岩手医科大学医学部眼科学講座 教授 黒坂 大次郎 先生
有吉伸顕(徳山中央病院)
令和6年10月6日にセントコア山口で第144回山口県眼科医会秋季総会並びに集談会が開催されました。特別講演では岩手医科大学医学部眼科学教授、黒坂大次郎先生より、「症例から学ぶ白内障手術」についてご講演いただきました。
はじめに、浅前房への対応についてご教示いただきました。以前は手術開始時に硝子体切除を行って硝子体圧を低下させてから白内障手術を行うこともあったとのことでしたが、現在では粘弾性物質のみで前房深度を確保して白内障手術を行うことが増えてきているとご紹介いただきました。粘弾性物質の量が多いと虹彩が脱出する場合があり、適度な量を注入することが重要とご教示いただきました。
チン小帯の断裂が疑われる症例について、プレチョッパーを用いることでチン小帯への負担の少ない手術が可能なことをご紹介いただきました。チン小帯脆弱例で眼内レンズを挿入する際、3piece眼内レンズを毛様溝に挿入し光学部を嚢内に固定することで、眼内レンズの偏位を減少させる可能性についてご教示いただきました。。
水晶体亜脱臼に対して手術のポイントをご教示いただきました。水晶体亜脱臼では水晶体を中央に移動し、虹彩リトラクターなどで固定した状態で水晶体処理を行うことが重要であり、眼内レンズの縫着を水晶体嚢の摘出前に行うことで前部硝子体への負担を減らすことができることをご紹介いただきました。
白内障術後の合併症について、新しい疾患概念として眼内レンズの偏位を生じるdead bag syndromeや1 piece眼内レンズでの後嚢破裂、水晶体上皮細胞の増殖による高眼圧症についてご説明いただき、術後の経過観察の重要性を改めて学ぶことができました。
最後に乳幼児の白内障についてご教示いただきました。Red reflux法などを用いることで可能な限り早期に白内障を発見し、速やかに手術を行うことが術後の視力の発達に非常に重要であるとご紹介いただきました。また、眼内レンズの二次挿入では、水晶体上皮細胞の増殖を除去してレンズを嚢内に挿入することが望ましいとご教示いただきました。
特別講演では実際の手術動画を非常に多くご紹介いただき、白内障診療における重要なポイントを数多く学ぶことができました。この度は貴重なご講演誠にありがとうございました。