第147回山口県眼科医会春季総会・集談会
- 日時
- 2026年06月06日(土)17:00~20:00
- 場所
- KDDI維新ホール
- 一般講演
-
座長:平野 晋司(山口大学)
- 「甲状腺眼症に対する当院におけるテプロツムマブの治療経験」
次郎丸 光、吉本 拓矢、内 翔平、木村 和博
(山口大学) - 「樹氷状血管炎の2例」
内 翔平1、能美 なな実2、布 佳久2、木村 和博1
(1. 山口大学 2. JCHO下関医療センター) - 「当院における初期研修医に対する眼科教育」
能美 なな実、保田 光輝、白石 理江、布 佳久
(JCHO下関医療センター) - 「ICL(有水晶体眼内レンズ)挿入眼に対して白内障手術を施行した一例」
川本 晃司
(かわもと眼科) - 「小児・若年者近視における調節・屈折・眼軸因子の関与の検討」
植田 喜一
(ウエダ眼科)
- 「甲状腺眼症に対する当院におけるテプロツムマブの治療経験」
- 特別講演
-
座長:木村 和博(山口大学)
『ここまで来た!緑内障手術の最前線』
新潟大学大学院医歯学総合研究科 眼科学分野 教授 赤木 忠道 先生
O先生
令和8年6月6日、KDDI維新ホールにて第147回山口県眼科医会春季集団会が開催され、特別講演では「緑内障手術の最前線」と題して、新潟大学医学部眼科学講座准教授の赤城忠道先生よりご講演いただきました。
緑内障の手術にはこれまで様々な方法が用いられてきました。点眼薬やレーザー治療を行っても眼圧(眼球内の圧力)が十分に下がらない場合には、古くから、房水(眼の中を満たしている水)の排出路である線維柱帯を切り開く方法や、房水の排出路の癒着を取り除く方法、新たに水の排出路を作る濾過手術(眼の中の水を眼の外に流すための新しい通り道を作る手術)、房水を作り出す組織である毛様体の働きを抑える手術などが行われてきました。現在では、体への負担が少なく簡便な手法として「MIGS(低侵襲緑内障手術)」が広く知られています。小さな専用の器具を使って眼の中から行う方法や、ごく小さな医療器具を房水の排出路に挿入する方法などが開発され、それほど低い眼圧を目指さない症例では、MIGSが第一に選択される治療として広く普及しています。
さらに低い眼圧を目指す必要がある症例では、濾過手術が検討されます。従来から行われてきた代表的な濾過手術は、強い眼圧下降効果が期待できる一方、手術後にできる濾過胞(房水が一時的にたまる部分)の血流が乏しくなることによる感染のリスクなど、術後の管理や合併症対策が課題となっています。講演では、このように血流の乏しい大きな濾過胞に対して、ご自身の眼の組織(テノン組織)を使って房水が漏れ出るのを防ぐ処置の方法など、術後の対応についてもご紹介いただきました。
また、近年ではこうした濾過手術に加えて、人工のチューブを用いて房水の排出路を作る手術も登場しており、術後の合併症が少ないという点から行われる機会が増えています。チューブの長さが短いタイプは、強膜(白目の部分)に弁を作る必要がなく、術後の合併症が少ないという利点があります。チューブの長さが長いタイプは、従来の濾過手術に比べると眼圧を下げる効果はやや劣りますが、術後の合併症が少ないため、低侵襲な手術と濾過手術の中間的な位置づけとして多くの症例に用いられています。長いチューブのタイプには、水の流れを調整する弁を備えたものと備えていないものがあり、それぞれに利点・特徴があるため、症例や目標とする眼圧に応じて使い分ける必要があります。長いチューブのタイプについては、術後に眼圧が下がりすぎないようにする工夫が加えられた新しいタイプも登場しており、さらに最近では、弁を持たず、あらかじめ細い糸が挿入されているなど、より扱いやすい小型のチューブを用いる手術も登場しています。これらの新しいタイプは、従来の長いチューブと同程度の眼圧下降効果が報告されています。
最後に、どの方法を選択するかについては症例によって意見が分かれる部分もありますが、目標とする眼圧の高さ、結膜(白目の表面を覆う薄い膜)の状態、手術によるリスクの大きさなど、患者さん一人ひとりの眼の状態に応じて治療法を選択することの重要性についてご教示いただきました。今回学んだ知識を今後の診療に活かしていきたいと思います。この度はご講演いただき、誠にありがとうございました。





