第78回山口眼科手術懇話会プログラム
- 日時
- 2025年11月15日(土)17:00~20:00
- 場所
- 山口大学医学部 霜仁会館3階
- 一般口演
-
17:00~18:30
座長:東島 史明(山口大学)
- 「幹細胞疲弊症眼における角膜穿孔に羊膜移植が奏功した一例」
長谷川 豪、原口 愛子、和才 友紀、青木 連、佐久間 彩乃、山田 直之、木村 和博(山口大学) - 「インプラント内部への被膜の伸展を認めたAhmed 緑内障バルブ術後患者の一例」
保田 光輝1、石田 悠子1、次郎丸 光2、吉本 拓矢1、芳川 里奈1、内 翔平1、寺西 慎一郎1,3、木村 和博1(1:山口大学、2:小郡第一総合病院、3:くまがい眼科)
- 「白内障手術中の術野視認性向上デバイスの効用」
川本 晃司1、山田 直之2、松田 憲3(1:かわもと眼科、2:山口大学、3:北九州市立大学) - 「IOL 摘出及びIOL 強膜内固定の手術中に虹彩整復が必要となった一症例」
山田 貴紀、三國 雅倫、東島 史明、太田 真実、山本 和隆、平野 晋司、木村 和博(山口大学) - 「Dead bag syndrome によるトーリック眼内レンズの術後回旋」
宮城 秀考、石田 康仁、廣田 篤(広田眼科)
座長:波多野 誠(のむら医院)
- 「幹細胞疲弊症眼における角膜穿孔に羊膜移植が奏功した一例」
- 特別講演
-
18:30~20:00
座長:木村 和博(山口大学)
『眼外傷のABC -初期対応から専門的治療まで-』
北口 善之 先生 大阪大学大学院医学研究科脳神経感覚器外科学(眼科学) 学部内講師
H先生
令和7年11月15日に開催されました第78回山口眼科手術懇話会において、特別講演として大阪大学大学院医学研究科脳神経感覚器外科学(眼科学) 学部内講師北口善之先生より、『眼外傷のABC ―初期対応から専門的治療まで―』についてご講演を賜りました。本講演では、眼外傷診療における初期対応の基本から専門的治療判断に至るまでを、数多くの症例をご提示いただきながらご解説いただきました。
外傷原因と病態の関連として、ゴルフボールは眼球破裂を、野球ボールは吹き抜け骨折を来しやすいといった具体例が示され、受傷機転から重症度を推測する視点の重要性について学ぶことができました。
化学熱傷に関しては、最低30分間の流水洗浄を行ったうえで受診してもらうことが重要であり、角膜輪部の上皮欠損が広範な症例では、早期の羊膜移植により角膜混濁を防げる可能性があるため、角膜専門医への早期紹介が望ましいとのご説明がありました。
外傷による前房出血の症例では、ゴーストセル緑内障に注意し、眼圧測定を確実に行うこと、可能であれば隅角を観察し隅角乖離の有無を評価することの重要性をご教授いただきました。また、眼圧コントロール不良例や出血が遷延する症例では前房洗浄を考慮するなど、治療判断の実際について理解を深めることができました。
高齢者の転倒外傷例では、眼球形状が保たれている場合であっても、眼球穿孔や網膜剥離を否定できないことが示され、外傷診療においては常に重篤な合併症を念頭に置く必要があることを学びました。また、水晶体脱臼例や外傷性黄斑下出血、外傷性黄斑円孔についても解説があり、経過観察に偏らず、適切な治療介入の時期を見極めることの重要性が印象に残りました。
開放性眼外傷においては、眼球を圧迫しないこと、全身麻酔下手術を想定して絶食とすることなど、初期対応の基本について改めてご説明いただきました。眼球形状が保たれているからといって穿孔を否定できない点や、重症例では交感性眼炎予防の観点から眼球内容除去を検討する場合があることについても理解を深めることができました。
眼窩コンパートメント症候群に関しては、極めて緊急性の高い病態であり、短時間で不可逆的な視機能障害を来す可能性があること、外眼角切開などによる迅速な減圧が視機能温存に直結することを、症例を通してご解説いただきました。さらに、眼窩吹き抜け骨折や涙小管断裂についても、手術適応や治療時期の判断に関する具体的なご説明があり、非常に実践的な内容でした。
本講演では、多くの症例をご提示いただき、眼外傷診療における初期対応の重要性と注意すべきポイントについて体系的に学ぶことができました。私は眼科での救急対応の経験がまだ浅く、眼科救急疾患に遭遇した際に対応に迷うこともしばしばありますが、今回のご講演は日常診療に直結する内容であり、非常に勉強になりました。今回学ばせていただいた内容を、今後の眼科救急診療に活かしていきたいと考えております。北口先生、この度は誠に貴重なご講演を賜り、心より御礼申し上げます。





