01 初期研修医のキャリアアップ
眼科を初期研修でローテーションする場合、3か月未満の場合と11か月未満の場合の2つのパターンが考えられます。
研修Ⅰ(~3ヶ月)
まずは眼科診療の現場に立ち、そこに何が起こっているのか、何が行われているか、を見て診療に参加していただきます。
大学病院には、軽症から重症まで、様々な患者さんが受診されます。
期間が限られていますので、眼科プライマリケアに欠かせない疾患を中心に、可能な限り多くの症例を見ていただき眼科診療の現場で研修を行います。
研修Ⅱ(4~13ヶ月)
眼科の基本検査の理解やいろいろな疾患の診断の進め方を理解しながら、時間をかけて眼科診療の現場で研修を行います。
手術室での研修も多く取り入れ、眼科手術で特徴的なマイクロサージェリーを習得できるように指導します。
症例の数だけでなく、症例の質にも重点を置き、研修していきます。
※協力病院との”たすきがけ研修”も可能です。
ある研修医の1週間
今日は手術日。朝8時半に手術室に入り、手術症例の助手につく。
白内障や角膜移植では、手術用顕微鏡下での操作がある程度できるようになると第一助手につかせてもらえる。
硝子体手術では扱う器具も多く、なかなか混乱するが、指導医の先生がヘルプしてくれるので何とかやっていけている。
手術症例が多く、1日で学ぶことも多い。
教授外来。教授宛の紹介患者さんが次々とやってくる。
お話を聞いたり、検査結果を見たり、自分で診断や治療方針を組み立てて、それが教授の判断と同じかどうかを頭の中でチェックする。
“あたり!”の時もあるが、“はずれ…”の時もある。
外来の後は教授の病棟回診がある。担当させてもらっている患者さんのこの1週間の経過を説明する。緊張もするが、得るものも多い。
午前中は病棟患者さんの診察が中心になるが、外来患者さんの診察に呼ばれる。
指導医の先生に「よく診ててね」と言われた患者さんは、緑内障発作で紹介となった患者さんだった。
頭痛、眼痛に苦しむ患者さんが処置によりあっという間に症状が改善したのは驚きものだった。
病棟患者さんの診察を午後に回して、昨日の緑内障発作の患者さんの診察に立ち会った。
「この疾患は、数日放置したら失明する可能性もあるからね」という指導医の先生の言葉に、眼科疾患のプライマリケアの重要性を実感した。
指導医の先生と初診患者さんの診察日だ。
初診患者さんのお話を聞いて、自分なりに鑑別診断を列挙し、診断のプロセスを組み立てていく。
教授外来ではなかなか診療を遮ることができないが、指導医の先生の外来ではいろいろ聞けるので勉強になる。
02 後期研修医のキャリアアップ
初期研修を終えた後、眼科医としてのキャリアアップは、眼科専門医資格取得を目標に進めていきます。
眼科専門医認定試験受験のためには、眼科専門医制度規則施行細則第7条に規定されていますが、特に以下の条件を満たすことが要求されます。
- 認定研修施設における4年以上の眼科臨床研修
- 4年以上日本眼科学会員であること(受験時に日本眼科医会会員であること)
- 単独または筆頭著者としての論文1報以上
- 筆頭演者としての学会報告2報以上
- 眼科手術100例以上(執刀または助手):外眼手術、内眼手術、レーザー手術が執刀者としてそれぞれ20例以上
これらの条件を満たすため、大学病院および関連病院が一体となって、眼科専門医を目指す先生方の研鑽の協力をしています。
後期研修医(卒後) | 勤務体系 | その他 |
---|---|---|
1年目(3年次) | 山口大学病院での研修 | |
2年目(4年次) | 山口大学病院または関連病院での勤務 | |
3年目(5年次) | 山口大学病院または関連病院での勤務 | |
4年目(6年次) | 山口大学病院または関連病院での勤務 | 修了時に専門医試験受験資格を取得できます |
03 眼科専門医取得後のキャリアアップ
眼科専門医資格取得後は、本人の希望によって様々な進路に進むことが可能となります。
大学・大学病院で教員・研究者を目指したり、大学病院に集まる難治性疾患・希少疾患の診断や治療にあたったりと、眼科医としてのスキルアップを行うこともできます。
また、関連病院に勤務し、白内障手術を中心とした一般眼科医療をさらに成熟させることもできます。
研究者としてのキャリアアップ・スキルアップのために、海外留学なども可能です。これまで、以下の留学先に教室員を派遣しています。
先輩医師から
眼科では限られた研修期間の中で、我々先輩医師がどのように仕事をしているかを学んで欲しいと思います。
眼科は内科的治療、外科的治療の両者がバランス良く学べる科です。
特に当院では当科で開発した難治性角膜疾患に対する薬物治療などオリジナルの治療薬をいくつか持っています。
内科的治療に興味ある研修医の先生も当科を考えてもらえればと思います。
また、外科的治療に関しては、手術件数が院内で最多であり手術を学びたい研修医の先生にも相応しい科であると思います。
ぜひ研修期間で眼科を選択し、将来眼科医となって我々と共に仕事をしてみませんか。
山田 直之
緊急医師確保対策枠・地域医療再生枠(山口県枠)の学生さんへ
緊急医師確保対策枠・地域医療再生枠で奨学金を受給している学生さんは、卒後山口県内の病院での勤務が必要とされています。
山口県枠対象病院に含まれている病院で眼科がある病院では、経験のある常勤医を配置しており、日常診療の研鑚に支障をきたすことはありません。
眼科全体でバックアップしていきますので、奨学金を受けていない人たちと比べても、専門医取得などのキャリアアップにマイナスとなることはありません。