平成27年3月9日(月)に山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)キックオフシンポジウム「ラーニングコミュニティの創造を目指して~山口大学・大学教育再生加速プログラムの挑戦~」を開催した。本シンポジウムには、学内外より、高等教育関係者、企業などから150名近くの参加者が集まり、会場も超満員となり熱気あふれるYU-AP事業のキックオフとなった。

 冒頭、岡正朗 山口大学長より開会の挨拶と山路尚武 文部科学省高等教育局大学振興課課長補佐より来賓の挨拶があった。特に、山路課長補佐より、AP事業は、大学教育改革の本丸であるとの強い期待感が込められた挨拶があった。次に、纐纈厚 山口大学理事・副学長より、YU-AP事業の概要説明があり、杉元茜 山口大学 理学部3年(YC.CAMリーダー)の登壇・説明があった。

 まず、松下佳代 京都大学 高等教育研究開発推進センター教授(YU-APアドバイザー)より、「アクティブ・ラーニングにおけるパフォーマンス評価の可能性」と題して講演があり、大学を取り巻く環境変化によりアクティブ・ラーニングが求められているという前提から、アクティブ・ラーニングによってどのような知識、能力の涵養が期待されているのかについて言及があった。

 次に、山田礼子 同志社大学 教育支援機構副機構長・社会学部教授(YU-APアドバイザー)より、「学修行動調査の可能性~学修到達度調査との連携~」と題して講演があった。本講演の内容は、「教育の質保証のために何をすべきか」、「ジェイ・サープのあゆみ」、「学修行動調査結果の紹介」、「JCIRPからJSAAPへ:新たな展開」、そして、「学修行動調査と学修到達度調査との連携へ」であった。

最後に、橋本勝 富山大学 大学教育支援センター教授(YU-APアドバイザー)より、「学生参画型FDの過去・現在・未来」と題して講演があった。冒頭、会場の雰囲気を和ませる話からはじまり、本題の「学生参画型FD」の発端となった、岡山大学の「新機軸『学生参画』による大学教育改革」(特色GP)について紹介があった。

 本シンポジウムのパネルディスカッションには、講師の3名と纐纈理事・副学長、糸長雅弘 大学教育機構 大学教育センター長に加えて、理学部3年(YC.CAMリーダー)の杉元さんが登壇した。本格的なディスカッションに入る前に、総合司会を務める、林 透 大学教育機構大学教育センター准教授によるファシリテーションのもと、参加者どうしで対話(アイスブレーク)を行い、その後、「パネラーと話そう!」と題して、質疑応答を行った。

 最後に、纐纈理事・副学長よりクロージングの挨拶とYU-AP事業を共に進める学生たちの紹介があった。冒頭、廣中平祐 元山口大学長の学長時代の活躍に触れながら、学生とともにYU-AP事業を加速させ、また、教職員・学生の協働を進めると同時に、教職員・学生そして市民の希望に応えられる大学づくりを行っていくことが述べられた。本シンポジウムは、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)のまさにキックオフを全国に示すものであり、教員・職員・学生が「知の広場」(ラーニングコミュニティ)を築いていく足掛かりとなるシンポジウムとなった。

 

 
  


 山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)では、平成27年2月27日(金)に「ルーブリック事例報告ワークショップ―『山口と世界』授業実践などを例にして―」を開催した。本ワークショップには学内外から合計38名、中国、九州、関西、東北の各地区からの参加があった。本学では、2013年度から大学教育学会課題研究「学士課程教育における共通教育の質保証」との連携により、初年次教育科目『山口と世界』を対象にしたルーブリック開発・実践活用を進めてきた。本ワークショップでは、『山口と世界』の事例報告に加え、名古屋商科大学経営学部 亀倉正彦教授から同大学のルーブリック開発取組を紹介していただき、京都大学高等教育研究開発推進センター 松下佳代教授からのアドバイスをいただきながら、ルーブリックの活用の方法や課題等について、参加者とともに理解を深めた。

 冒頭、糸長雅弘 大学教育機構大学教育センター長より開会の挨拶があり、本学での取組概要や本ワークショップがAP事業の一環として行われることが説明された。

 第一部の事例報告では、林透 大学教育機構大学教育センター准教授より、「『山口と世界』コモンルーブリック開発の経緯と課題」と題して報告があった。共通教育科目『山口と世界』における、ルーブリック開発の経緯が試作、開発、活用の三つのステップで紹介された。次に、星野晋 大学教育センター講師より「学んで欲しいこと評価できることの擦り合わせは可能か~『山口と世界』の事例から~」と題して報告があった。報告では、コモンルーブリックに基づき科目の学習目標や学習内容について説明があり、授業のデザインについて紹介された。第一部の最後の報告として、亀倉正彦 名古屋商科大学経営学部教授より、「名古屋商科大学におけるルーブリック活用実践事例」と題して報告があった。ルーブリックの8分野16項目とルーブリックに基づく指導評価表(試行中)について説明があり、今後の計画、実践におけるルーブリックの活用、また、教員が抱える課題への対応などの共通教育におけるルーブリック活用のマネジメントについて報告があった。

 第二部では、まず、松下佳代 京都大学高等教育研究開発推進センター教授より、「ルーブリックの開発・活用の課題にどう応えていくか―コメントとアドバイジング」と題して、それぞれの事例報告についてのコメント、アドバイスが共有された。グループワークはグループ評価が原則であることや、貢献度のピア評価、あるいはグループワークそのものではなく、グループワークで学んだことの評価などについて各種のコメントがあった。また、パフォーマンス評価についても、常に広義のパフォーマンス(プロセス)の評価が必要ではなく、適宜、プロダクト(狭義のパフォーマンス)を評価することも重要であることが指摘された。また、参加者同士によるグループ対話があり、A~Fに分かれて活発な対話がなされた。