FD・SDワークショップ「アクティブ・ラーニングのコツを学び、活用しよう!―大人数授業、理系基礎科目を事例にして―」を開催しました。
平成27年7月9日(木)に、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)& KEEPAD JAPANアクティブ・ラーニング研究会 共同企画FD・SDワークショップ『アクティブ・ラーニングのコツを学び、活用しよう!―大人数授業、理系基礎科目を事例にして―』が、学内外から合計57名(学内教職員27名、学生14名、学外教職員16名)の参加者を集めて、本学吉田キャンパス総合図書館アカデミックフォレストにて開催された。本ワークショップは山口大学が採択された文部科学省・大学教育再生加速プログラム(AP)におけるアクティブ・ラーニング推進のための取り組みの一環として実施された。
冒頭、纐纈 厚 山口大学理事・副学長(教育学生担当)より開会挨拶と趣旨説明があり、ALポイント認定制度をはじめとして山口大学がアクティブ・ラーニングの推進に力を入れていることが述べられた。最後に、本ワークショップで得た成果を大いに活用して、さらなるアクティブ・ラーニングの推進への期待感が述べられた。
第一部では事例報告が行われた。まずは、山口大学経済学部 鍋山祥子 教授より、「やればできる、大人数による双方向型授業」と題して報告があり、200名の受講者を超える学部専門教育での実践について紹介があった。この大人数授業では、「アクティブ・ラーニングシート」の活用を通して、学生同士のグループワークそして、教員と学生の双方向での講義が可能になっている。こうした、双方向型での学びが学生の学習意欲を高める効果があることが実践を通して感じられていることが述べられた。
次に、東京学芸大学自然科学系 新田英雄 教授より、「理系基礎科目におけるアクティブ・ラーニング~クリッカー活用によるピア・インストラクション~」と題して、事例報告があった。はじめに相互作用型授業や教育効果の定量的比較、またアクティブ・ラーニングの優位性について話があった。続いて、ピア・インストラクションについてクリッカーの実演を通して紹介があった。クリッカーを活用した講師と参加者とのコミュニケーションの効果は高く、会場の参加者が身を乗り出して、本報告に集中している姿をみることができた。
最後に、KEEPAD JAPAN 山口達也 ICT&テクニカルサポートマネージャーより、「今すぐ始められるクリッカー利用方法」と題して報告があった。報告では、実演を通して、パソコンとクリッカーさえあれば簡単にクリッカーを活用した講義を行うことができる方法について紹介があった。
第二部のグループワークセッションでは、大学教育機構 大学教育センター 林 透 准教授のファシリテーションにより、「学生の学びを促進するアクティブ・ラーニングであるために!」というテーマでグループワークを行った。グループワークでは、参加者の気付きや講師への質問など、意見交換が活発に行われた。最後に各グループでまとめた意見を林准教授により全体での共有がなされた。
近年、大学において学生の汎用的能力が涵養されることが社会的にも求められており、アクティブ・ラーニングへの関心と期待が高まっている。本ワークショップでも多くの参加者がアクティブ・ラーニングに対して高い関心を持っていることが伺われた。さらに、クリッカーを活用した講師と参加者のコミュニケーションは非常に効果的(象徴的)であった。本ワークショップには、学生も参加しており、学生ならではの視点で、アクティブ・ラーニングについて意見が述べられていた。こうした学生もクリッカーの実演を通して、聞く(学ぶ)態度が能動的(アクティブ)に変わっていく姿をみることができた。
クリッカーの活用はアクティブ・ラーニングの一手法であるものの、学習者の学びの態度をアクティブ・ラーニングへと転換するには効果的であることが参加者同士(教員・職員・学生)でも確認しあえるワークショップとなった。今後も山口大学におけるクリッカー活用の普及を進めることで、アクティブ・ラーニングがさらに推進されることが期待される。