平成29年3月14日(火)に、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU‐AP)国際シンポジウム2017"Creating the Future of Faculty Development Across the Border"が合計60名(学内43名、学外17名)の参加者を集め、YIC Studio 2階講堂にて開催されました。
 冒頭、福田 隆眞 山口大学理事・副学長(教育学生担当)より開会挨拶があり、基調講演1では、河本 達毅 文部科学省高等教育局大学振興課 大学改革推進室 改革支援第二係長より、「高大接続改革と大学教育再生加速プログラム」というタイトルで、高大接続改革と大学教育再生加速プログラムの背景と目的、現状の課題等が説明されました。続く基調講演2では、沖 裕貴 立命館大学 教育開発推進機構教授より、「FDの過去、現在、未来 ~私たちは何をしてきて、どこに向かっているのか?~」というタイトルで、日本の高等教育の文脈におけるFD(Faculty Development)の位置づけ、定義、課題、将来の展望が論じられ諸外国との比較が簡潔に述べられました。
 次に、林 透 山口大学 大学教育機構 大学教育センター准教授より「山口大学AP 事業が目指す『学びの好循環』と教授学習観の深化」、大関 智史 宮崎国際大学 AP アセスメント・オフィサー(助教)より「宮崎国際大学のグローバル教育とAP 事業への取組」というタイトルで、それぞれ山口大学と宮崎国際大学のAPの成果報告が述べられました。
 特別講演ではメアリー・ディーン・ソルチネッリ (Senior Fellow, Institute for Teaching Excellence & Faculty Development, UMASS) より、"Creating the Future of Faculty Development Across the Border" というタイトルで、FDの定義の再確認や歴史、米国・カナダにおけるFD担当者向けの大規模調査の結果などが報告されるとともに、FDをエビデンスベースで進める必要性が強調されました。

     
 そしてグローバル・ワークショップとして、「10 年後のFD の姿を展望する~日米FD 比較調査を通したダイアローグ~」というタイトルで、まずアンドレア・L・ビーチ (Professor of Higher Education Leadership, Western Michigan University) と山崎 慎一 桜美林大学 グローバル・コミュニケーション学群助教により日米の比較調査の結果報告が述べられました。その後、これまでの発表内容を踏まえた上で、参加者が4人1組のグループを構成し、「日米のFDの違いに関する気づき、疑問」と「これからの日本のFDの行方」を議論するというワークショップが行われました。参加者からは、米国と比較して日本はFDのweb活用やマイノリティへの配慮が進んでいないことが印象的であったということや、またエビデンスベースを強調するあまり、定量化出来ない事に関する議論がおざなりになってしまう危険性などが語られました。