山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)FD・SDワークショップ『学生の学びを促す学修ポートフォリオとは ~今、改めて学修成果の可視化について考える~』を開催しました!
平成30年11月22日(木)に、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)FD・SDワークショップ『学生の学びを促す学修ポートフォリオとは ~今、改めて学修成果の可視化について考える~』が、学内外から大学関係者だけでなく、高等学校関係者を多数集め、計37名(学内13名(教職員11名、学生2名)、学外24名(教職員24名))の参加者により、本学吉田キャンパス共通教育棟15番教室(アクティブ・ラーニング教室)にて開催された。本ワークショップは、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)の一環として実施された。
冒頭、菊政 勲 山口大学 大学教育機構 大学教育センター長より開会挨拶があり、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)では、汎用的能力に関する学修成果の可視化に取り組むとともに、3つのポリシーの公表義務化や内部質保証の厳格化に伴い、学位プログラムにおけるディプロマ・ポリシーの達成度を測定・可視化の取組を進めている。これらの学修成果の可視化を通して、学生は自分自身の学びを振り返り、次なる学びに繋げて行くため、学修ポートフォリオの重要性が一層増しているが、学修ポートフォリオの組織的な運用において、幾つかの課題を抱えており、先進事例紹介等を通して、学修ポートフォリオの意義や価値について改めて考えてみたいとの趣旨説明があった。
まず、江本 理恵 岩手大学教育推進機構准教授より、「ディプロマ・ポリシー達成度の可視化と学修ポートフォリオの活用」と題して、岩手大学での先進事例について紹介があった。岩手大学では、教育の内部質保証システムの構築・充実を図る観点から、「アイフォリオ」と称するポートフォリオシステムを開発し、ディプロマ・ポリシー(DP)達成度の可視化、カリキュラムポリシーに基づくDPに関する自己評価チェックリストの運用のほか、学期ごとに学修状況(授業外の学修時間等)に関する自己評価調査を行う環境を全学的に整備し、運用している状況について説明があった。さらに、このような環境整備のもと、教学データの蓄積を通して、DP達成度状況の経年変化や平成28年度以降のカリキュラム改善前後の学修状況の変容などを分析し、学部でのFD活動に活かしているとの説明があった。
次に、鷹岡 亮 山口大学教育学部附属教育実践総合センター教授より、「学修ポートフォリオを通した学生の振り返りの意義と効果」と題して話題提供があり、教育学部での授業実践における省察活動の各種紹介を踏まえながら、省察における動画や写真を参照することの有用性について説明があった。さらに、省察を行う際の観点の提示や省察活動の評価のあり方について説明があった。
後半の質疑応答・対話のセッションでは、林 透 山口大学 大学教育機構 大学教育センター准教授のファシリテーションにより、参加者に事前配布したダイアローグシートに模擬授業を受講して感じた気づきや疑問点を記入していただいた後、ペアワークの形式で短時間の意見交換を行った。その後、全体の質疑応答に展開し、岩手大学人文社会学部での学修ポートフォリオの運用の具体や学修ポートフォリオに基づく修学指導の主担当・副担当におけるシステム上の設定の仕方、さらには、学修ポートフォリオを有効に活用した省察活動のあり方など、具体的な質問が多数あり、各機関において学修ポートフォリオの開発・運用が喫緊な課題となっていることが窺えた。このほか、学修状況調査のデータ分析に関する詳細を確認する質問もあり、教学データ分析の活用やその説明のあり方など、教学IRに関して参考となる知見を得ることができた。
今回のFD・SDワークショップでは、岩手大学 江本先生から多くの情報提供をいただいたことに改めて感謝申し上げたい。ディプロマ・ポリシー達成度の可視化の取組を進める山口大学にとって、大変有意義な機会となった。そして、学修成果の可視化の取組について、学生のため以前に、FDのために有効かつ必要であると力説された江本先生の言葉が印象的であった。