大学マネジメントセミナー2018 in やまぐち『地方大学の魅力発信と大学間連携 Part2~新しい時代における大学マネジメント~』を開催しました!
2018年12月17日(月)に、大学リーグやまぐち・山口大学主催 大学マネジメントセミナー2018 in やまぐち『地方大学の魅力発信と大学間連携 Part2 ~新しい時代における大学マネジメント~』を、学内外から91名(学内67名、学外24名)の参加者を集め、吉田キャンパスにて開催した。本セミナーは、大学リーグやまぐち、山口大学の共同主催、大学マネジメント研究会、大学行政管理学会中国・四国地区研究会の共催で、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)における教学マネジメント強化のための研修の一環として実施された。
冒頭、岡 正朗 山口大学長より開会挨拶があり、2017年度からSD(スタッフ・ディベロップメント)の義務化に加え、大学経営における教職協働の重要性が謳われる中で、従来のSDセミナーを大学マネジメントセミナーと改称して開催する趣旨が述べられ、例年同様、所属大学を超えた大学関係者の議論や情報交流に期待が寄せられた。
基調講演では、まず、高梨桂治 沖縄科学技術大学院大学副学長(財務担当)より、「輝け大学、輝け!大学人」と題して講演があった。世界大競争時代である21世紀における日本の大学の役割について経済学の視点を交えながら説明があり、これからの時代は新たな価値を創造する人材が必要であり、そのために、大学は新たな価値を創造する「成長エンジン」製造工場にならないといけないと力説された。さらに、データから見る日本の大学の現状として、大学に投じられている国家予算の少なさや海外との研究資金規模の格差などを紹介しながら、今日の大学が国家や社会から信頼を得られない悪循環を引き起こしており、今後の大学にとっては、如何に学生をもっと知的に鍛えるかが信頼性獲得のカギになると指摘された。大学は従来の「コストセンター」から「バリューセンター」に転換する必要があると指摘された。最後に、これからの大学職員の果たすべき役割と大学職員への期待として、大学教員と切磋琢磨しながら、大学経営や大学教育の本質を見極め、質を高めることに貢献できる人材になってほしいとエールを送られた。国内外の情勢を踏まえながら、大学が、大学職員が何をすべきかを明確に指摘され、参加者にとって示唆に富む講演であった。
次に、各務 正 梅光学院大学副学長(教学担当)より、「大学人としての『生きがい』『やりがい』とは」と題して講演があった。冒頭、『生きがい』『やりがい』というと、個々人の自己満足と表裏一体のところがあり、その点を踏まえながら、自分自身のこれまでの大学人としてのポートフォリオを披露するようにお話したいとの前置きがあった。順天堂大学時代に、医学部教員から医学教育改革をせよとの指令があり、当該学部のミッションづくりをした経験が披露された。この経験を経て、入学定員増や国家試験合格率アップ、さらには大学院教育改革の施策に携わるようになった。授業風景が荒んでいる時代に、そこで学んでいる学生のモチベーションは大学マターなのか、学生個人マターなのかを考えるようになったという話があった。大学人として、それぞれの役割があり、その枠を自覚しながら、一人一人のガバナンスをできることが大切だと力説された。最後に、"Ability to Inspire Others"という言葉を提示し、如何に人を動かすことができるかが大事であり、その中でアウトカムを生み出す人材になってほしいとエールを送られた。長年のキャリアを踏まえながら、大学人としてあるべき生き方や考え方を参加者に訴えかける講演となった。
後半では、林 透 大学教育センター准教授の全体進行のもと、シンク・ペア・シェアという手法で、講師2名の基調講演について、まずは個人での振り返りを踏まえながら、ペアワークで対話した後、講師との質疑応答を通して全体共有を行った。参加者からは、「知的に鍛えるとは、どのような力を身に付けさせたらよいのか」「これからの時代の研究支援や学生支援のあり方、その際の大学職員の対応の仕方はどのようにあるべきか」「大学職員の理想の姿とはどんなものか」といった質問があった。講師2名からは、大学教育では単位制を担保することがすべて、旧来のフンボルト型の大学観を脱却して新しい価値観でもって大学経営や大学教育に当たることが大切とのコメントがあった。
最後に、田中和広 山口大学理事・副学長より閉会挨拶があり、学内外の大学関係者が交流する素晴らしい機会となり、今後もこのような場づくりを行っていくこととした。