第1回(2015年5月)
留学生活スタート! キムキム at ロンドン (5月号)
木村 和博
みさなん、お久しぶりです。私がいなくなって早一か月。さぞかし寂しい思いをしておられる方がたくさんいるとの未確認情報をえたため、わが山口大学眼科のホームページに私の近況を報告することと相成りました。なんと毎月!別に大学での業務を離れて、ロンドンにきているからテンションが上がっているわけではありません、、、。
まずは私の現状をお知らせします。私は2015年4月からイギリスのロンドン中心部にあるUCL(University College London)の眼科研究所(Institute of Ophthalmology)に研究目的で留学しています。眼科研究所は、Eustonにあるメインキャンパスから地下鉄の駅で二駅ほど離れたところにあり、以前、鈴木克佳先生が留学していたMoorfields Eye Hospital (MEH)のすぐとなりにあります。ここでは二つの施設が協力しあい眼科の臨床と研究を密接に関連づけて難治性眼疾患の病態解明や治療法開発に日夜励んでいます。一方で、UCLの多くの研究室はメインキャンパスにあり、そこではノーベル賞受賞者を含めてそれぞれの分野の世界トップクラスの研究者らが研究を行い、さらにセミナーやレクチャーを日常的に行っています。日本にいては、とても味わえない経験をすることができます。
続いて私の住処ですが、West Finchleyというロンドン北部の町にあります。集合住宅(Flat)に住んでおり、家族4人で楽しんで生活しています。研究所までは徒歩と地下鉄で50分かけて通勤しており、とても宇部に在住しているときには考えられないくらい時間がかかります。そのおかげで、結構痩せたと家族に言われています(•̀ᴗ•́)و ̑̑ ヨッシャ。まあ、ロンドンに来てまだ間もないですが、住んでいる人種は様々ですし、日本といろいろとシステムが異なっていて結構大変な思いをしています(^-^;;;;;;)。まあ、これもよい経験だと思って楽しむようにしています(実際はハプニングだらけです、、、。)ロンドン生活は始まったばかりですが、研究や日常生活のことなど私自身が経験したことを中心にこれから1年間書き綴っていきたいと思います。ではでは。
第2回(2015年6月)
ラボラトリー in UCL キムキム at ロンドン (6月号)
木村 和博
みなさん、元気ですか!ロンドンにきて早2カ月が経過し、こちらの生活にもかなり慣れてきた今日この頃です。すでにロンドン中心部近郊の観光スポットは行きつくしてしまった感があり、次はどこに足を延ばそうか思案している毎日です。前置きはさておき、今回のキムキムatロンドンでは、私の所属する研究室についてすこし詳しくお伝えしようと思います。5月号で簡単に述べましたように、私はUCLのInstitute of Ophthalmologyの中にある研究室に勤務しています。ここには、数十の眼科関連(すべてではありませんが)の研究室が研究棟の中にひしめき合っています。私は、その中のTranslational Vision Research(通称TVR)という研究室に属しています。ここの教授いわゆるわたしのボスは、David T. Shima先生で血管新生のエキスパートです。一方で彼は、世界的な企業であるRocheの眼科製薬部門のトップでもあります。このように書くととても近寄りがたい先生のような印象を持つかもしれませんが、とても話しやすく親近感がわく先生です。何よりも、私がとても気に入っているのはラボに来るとき彼の服装です。半そで、短パンそしてサンダルです。まさに自由人!
中心となる研究テーマは脈絡膜新生血管発生のメカニズム解明およびその抑制剤の開発です。私どものラボとRocheのラボとが共同でこの大きなテーマのもと研究を行っています。現在微力ながら私も少し違った観点からこの研究テーマに関わっています。ラボメンバーはテクニシャンもいれて9人(2人は今産休でお休みです)です。大学院生は基本的には受け入れずにポスドク以上のメンバーで構成されており、各々が独自に研究を進めています。ラボメンバーはとてもfriendlyで、2週間に1回くらいのタイミングで、金曜日夕方から研究所近くのPubに行ってビールを飲みまくります。 パイントグラス(約600cc)で何杯も飲むはめになります。というのは飲み干すと誰かがすぐに「次はどうする?」と聞いてきて、新しいビールを買いに行くからです。4月末にPubに行ったときは、酔って地下鉄に乗り、爆睡し気がついたら終点の駅でした。にしてもまあ、イギリスの方々は夕方や週末となるとPubの中や前でビール片手に永遠と楽しそうにしゃべっています。内容は大したことないのですが、不思議と盛り上ってるんですよ!
今回はざっくりとラボの様子を紹介しました。私の研究おける現状はやっと研究を始める環境が整ったばかりです。自分の仮説のもとよい結果がでることを期待し日々精進していくつもりです。また来月皆様にお会いできることを楽しみしております。See you next month!
第3回(2015年7月)
ロンドン地下鉄でてんやわんや キムキム at ロンドン (7月号)
木村 和博
日本は唸るような暑さでしょうが、ここロンドンはウィンブルドンテニスが終われば夏が終わるといわれているようにすでにだんだん秋に近づいています。
サマータイムで夜9時過ぎまで明るくて観光にはベストシーズンです。
今回は、ロンドンの地下鉄についてお話しましょう。ロンドン地下鉄(London Underground)は、サブウェイとは言わずみんなTube(チューブ)と呼んでいます。以前、鈴木先生が留学体験記で最後に語っていた“Mind the Gap”はいつもチューブの乗り降りの時に耳にするフレーズです。これはやたらとプラットフォームと車両との間が離れすぎているところがあるので足元注意してという意味で常にアナウンスされています。場所によっては尋常ないくらい離れているところもあります。
さて、チューブは私が通勤で使用するノーザンラインを含めて11のラインがロンドンの地下に張り巡らされています。このチューブですがよく止まるし、遅れるし、はたまた駅が突然閉鎖になったりといろいろ物議をかもしています。先日は、13年ぶり(人から聞いた話なので自信はありませんが)のロンドン全線24時間ストライキが行われました。首都なのにありえないでしょ。バス、タクシーおよび地上を走る電車は運行されています。しかしながら、チューブが動かないので人がそちらに流れ込むのでいつもなら20分くらいで行けるところが2時間くらいかかりました。その日はたまたまUCLのメインキャンパスであるシンポジウムの打ち合わせに行く用事があり、運悪くこのストライキに巻き込まれて到着するまでめちゃめちゃ時間がかかりました。ここロンドンではチューブ職員たちの労働組合が強いらしく、国あるいは市と賃上げや労働条件交渉をするためにほぼ毎年ストライキが行われているそうです。大抵は部分的らしいのですが、今回は全線ストライキでした。チューブの運転手さんも大変だとは思いますが、給料はイギリスの一般的な大学教授よりも高いらしいです、、。今ロンドンは土曜日にチューブを24時間営業にしようとしており、それに対抗してまた9月初旬に全線ストライキを実行しようとしているようです。脅しでもなんでもなく簡単に実行するところがすごいですね。ここロンドンは首都です。もし東京の地下鉄が24時間止まったらゾッとするでしょう。労働者の権利を守るのは重要ですが、ほどほどにして頂けるとよいのなあと一般市民として思います。ということで今月の話はここまでにしておきます。また、来月お会いしましょう。See you next month!
第4回(2015年8月)
夏休みイベント in London キムキム at ロンドン (8月号)
夏休みイベント in London キムキム at ロンドン (8月号)
私は、家族4人でロンドン生活を満喫しています。9歳の女の子と3歳の男の子がいますので、今回はロンドンならではの夏休みイベントについてお話をいたしましょう。ロンドンでは、子供の夏休みに合わせていろいろなイベントが催されます。代表的なのが今年で18回目を迎えるKids Weekです。8月1日から31日までの期間開催され、毎夏恒例で子供たちへの特典満載です。The Phantom of Opera, Les Miserables, Wickedなど人気のミュージカルや舞台の16歳以下の子供用チケットが、大人同伴なら1人分無料になります。大人はきっちり料金をとられるのが玉にきずですが、、。上の子は、The Phantom of Operaを観に行ってとてもよかったと喜んでいました。さらに、イギリスのBBCが行う8週間にわたるPromsも有名です。これは、一般の人や子供にクラシックを身近に感じてもらうという趣旨で毎年行われているものです。歴史あるロンドンロイヤルアルバートホールで催されます。
5歳以上でないとは入れないのですが、私は下の子を5歳としてチケットをネット購入しました。下の子は、どう見ても5歳に見えないので、コンサート当日受付で何か言われたら、「うちの子育ちが悪いねんの一点張りで」無理やり受付を突破するつもりでしたが、いい加減なイギリスの受付の方は何も気にせず中に入れてくれました。おかげで、家族4人で子供向けのプログラムを織り込んだクラシックコンサートを楽しむことができました。ロンドンのよいところはこのように子供にいろいろな経験をさせるような催しやプログラムが非常に充実しているところです。また、ロンドンの人たちは、子連れにとても親切です。電車、バスでは必ずといっていいくらい席を譲ってくれます。それは中学生や高校生でも同じです。何かにつけて、イギリスは子供に対して非常にやさしいところです。一方で、日本では考えられないことですが、上の子が公立小学校に入るまで1ヶ月半くらい待たされましたが、、、、、。ということで今月の話はここまでにしておきます。また、来月お会いしましょう。See you next month!
第5回(2015年9月)
またいつか、、。 キムキム at ロンドン (9月号)
木村 和博
日本もそろそろ9月の半ばを過ぎ秋めいてきたのではないでしょうか~、と思いきや台風の異常発生や想定外の大雨など、大変なことになっているのをインターネットで見てとても驚いています。一方で、ロンドンは秋も深まり、寒い日は薄手のコートやフリースが必要となっています。私がロンドンに来て、間もなく半年を迎えようとしています。そこで、今月はこれまでの半年を振り返ってみたいと思います。渡英のためのビザ申請に四苦八苦し、やっと三月末にロンドンに無事家族みんなで渡英することができました。まずは、住処探しに奔走し、数日後にようやく現在の家に転がり込むことができました。そこから家族とのロンドン生活とUCLのInstitute of OphthalmologyでDr.DT-Shima先生の下での研究がスタートしました。研究の傍ら、イギリス観光やヨーロッパ旅行に出かけ、これまでで最も多くの時間を家族と一緒に過ごせたと思います。9月初旬に夏休み最後の家族旅行ということでアイスランドに行きました。日本からは24時間以上かかり、まずは行くことはないと思っていた場所でしたが、ロンドンからはたった3時間で行けるということで今回の旅行を決行しました。前置きの日本の異常気象ではないですが、アイスランドはまさに地球の鼓動が聞こえる場所でした!日本と同じように温泉がいくつもありとても癒されました。このようにロンドンに来てまだ半年ですが、これまでにないくらいの沢山の経験をし、すばらしい時間を過ごせました。もちろん、研究も頑張りました!
私のロンドン生活も残りあと半年だと思って、これから毎月続く“キムキム at ロンドン”を楽しみにしている方もたくさんおられることでしょう。しかしながら今回が最終回となってしまいました。急なことですが、山口大学眼科の私のボスである園田康平先生が九州大学眼科主任教授に就任され、9月に異動されることになりました。それに伴い、私も急遽山口大学に戻り10月から大学業務に就くことになりました。またUCLでの研究は、園田先生とDr.DT-Shima先生のご厚意で今後も山口とUCLの間を行き来しながらコラボレーションし続けていくことになりました。
最後になりましたが、今回の留学を一番に薦めて頂いた園田先生、忙しい中私を送り出してくれた教室の皆さま、日本でご支援下さったすべての方々、Dr.DT-Shima先生をはじめとしたUCLのラボメンバーの方々、さらに留学中に出会ったすべての方々に心より感謝を申し上げます。それでは、これをもちまして留学体験記“キムキム at ロンドン”を終わりにしたいと思います。 Hope we can get together sometime!