2019年度第1回ダイバーシティ推進セミナー「SOGIに関する基礎知識と大学として取り組むべきこと」を開催しました

2019年6月4日(火)、令和元年度第1回ダイバーシティ推進セミナー「SOGIに関する基礎知識と大学として取り組むべきこと」を吉田キャンパスで開催し、常盤キャンパス、小串キャンパスを遠隔中継で結び、教職員、学生の75人が受講しました。

LGBTへの社会的な認知度も高まり、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとったSOGIという言葉も広く認識されるようになってきました。

 

文部科学省では、2016年に性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について、教職員の理解を促進することを目的とした教職員向けの周知資料を作成し公表するなど、国を挙げての対応を進めています。

 

本学が掲げるイノベーション人材の育成には、多様性を許容し、新たな価値観の創造につながる教育環境や労働環境の充実が重要であり、LGBTをめぐる日本の現状や周囲に求められる対応への理解を深め、行動することが求められます。

その一つとして、学生や教職員の多様な性的指向や性自認を尊重し、SOGIを理由に就学や服務が妨げられることのない大学となるよう、2019年4月1日に基本理念と対応ガイドラインの策定・施行をおこないました。

 

本セミナーは、SOGIに関する理解を深めるとともに、学部や教職員による対応格差が生じることのないよう大学教職員として取り組むべき対応や支援についての心構えを意識共有し、さらには、一人ひとりのSOGIを尊重し、積極的に支援する仕組みを構築することを目的として開催しました。

まず、筑波大学人間系障害科学域/ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター助教の河野禎之氏より、「SOGI/LGBT+に関する基礎知識と大学の取組動向」と題して講演があり、セクシュアルマイノリティの割合は左利きやAB型の人と同じであり、普通に日常にあるはずの状況であり、よくセクシュアルマイノリティの人に会ったことがないと

いう反応があるが、それはまだ社会が当事者にとって生きやすい環境にはなっていないということだと述べられました。また、筑波大学ではメンタルヘルスやリスクマネジメントなどに関する守りの視点と、人材や環境の多様性からイノベーション創出に関する攻めの視点の2点からセクシュアルマイノリティの方への支援に取り組んでいること、現在の支援体制や支援内容、今後の展望などを発表していただきました。

 

次に、山口大学副学長(ダイバーシティ推進担当)の鍋山祥子教授がモデレーターとなり、河野氏、山口大学学生センターの岡田菜穂子准教授をパネラーとして、「SOGIの理解から学生や教職員の支援を考える」と題してパネルディスカッションが行われました。討論の中では、相談体制の充実の必要性や相談対応について、また対応する際には無意識に相談者を傷つけることのないようキャンパス内での理解促進が大切なことが挙げられ、河野先生からは「SOGIのようなマイノリティ支援をおこなうときには、いかにマジョリティ側にアプローチをするか、巻き込むかが重要」だと述べられました。参加者からは、「マイノリティの排除は大学としてデメリットが大きいということがわかった」「筑波大学で支援を始めて『この大学にいてもいいんだ』という当事者学生の声があることが心に残った」などの感想がありました。

 

本学が掲げる「ダイバーシティ・キャンパスの実現」に向けて、大変有意義なセミナーとなりました。