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獣医予防管理学研究室
<分子、細胞、臓器、個体、群れ、そして環境のレベルで動物をみて考える>
教 員
教授 角川 博哉
研究室紹介
私たち人類は、自分たちの生活を”量”的、”質”的に豊かにするために、イヌやウシなどを飼育し繁殖させるようになりました。動物の助けを借りて生きている、とも言えます。
しかし、いつの時代も人間が必要とする優秀な動物個体を確保することは容易ではありません。たとえば一回に分娩する子供の数が少なく、子供が大人になるまでの時間が長い動物では、ストレス等があると、次の子供を産むための妊娠開始を遅らせて、母体は自分が生き残ることを優先します。この結果、分娩から分娩までの間隔(分娩間隔)が延長します。分娩間隔が延長すると、一生の間に雌動物が生める子供の数は減ります。この現象は様々な動物種で重要ですが、特に、深刻な子牛不足の問題が生じている、和牛生産や酪農の現場で極めて重要です。現在、日本からの高級牛肉の輸出量は急激に増えていますから、子牛不足問題は年々深刻になっています。
多くの未解明のメカニズムによる難問があります。科学的に答えを発見していくことだけが唯一の道です。動物体内の様々なメカニズムをよく知り、未利用の機能も有効活用し、さらに国内外の様々な資源も有効に利活用することが重要になります。
研究テーマ
分子、細胞、臓器、個体、群れ、環境のレベルで動物をみて考える
- 動物の重要な生体調節メカニズムを、分子、細胞、臓器、個体、そして動物の集団である"群れ"のレベルで解明
- 性成熟、受胎、妊娠、分娩、泌乳、老化といった過程で大きな生理的な変化が起きて、様々な病気やトラブルなどを発症しやすいメスにおける、リスク因子の解明と疾病予防管理技術の開発
- 未利用の生物機能等を用いた新規な動物管理・疾病予防法の開発
- 新発見の受容体に基づく、新薬や新しい動物飼育管理法の開発
性機能調節で中心的な役割を担うGnRH受容体(緑色で示された部分)は、ゴナドトロフ細胞の表面の特殊構造である脂質イカダ(リピッドラフト)にあることを私達が発見しました。
さらに脂質イカダに同乗する新しい受容体も発見しました。この新規受容体は、加齢や泌乳ストレスが性機能を抑制するメカニズムの中で、重要な役割を担っていると考えており、現在、研究をすすめています。
雌ウシの群れには強弱関係があり、正常なウシの他に、肥満したウシや痩せたウシができます。正常なウシに比べて肥満したウシや痩せたウシの繁殖成績は低下しますが、そのメカニズムは不明でした。私達は、受精や胚発生に関わる成長因子の卵管での発現量が異なることを発見しました。
教員紹介(角川 博哉 先生)
山口大学で教官になる前には、北国である北海道札幌市で乳牛の研究を約20年、また、南半球に位置するオーストラリアでヒツジの研究を約2年しました。短期の滞在ですが、ロシア、インドネシア、フロリダ、アリゾナなどでも、様々な動物の教育研究にも関わりました。そのような経験の中で学んだことは、動物や、動物の周囲にある環境をいかに多様な視点で見て考えることができるかが重要だということです。これからも、学生さんの皆さんと一緒に勉強して行きたいと思っています。