山口大学医学部眼科山口大学大学院医学系研究科眼科学

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涙道について

涙道とは涙の通り道のことを言います。上まぶたの外側にある涙腺という部分から涙が作られ、目の表面を流れて潤します。流れた涙は目頭にある涙点という部分から吸い込まれ、涙小管、涙嚢、鼻涙管を通過して最終的に鼻の中に流れていきます。特に涙点から鼻涙管の間が詰まってしまうことを「涙道閉塞」と呼びます。涙道閉塞を生じると涙が正しく流れなくなってしまい、様々な症状を引き起こします。

涙道閉塞の症状/原因について

涙道閉塞では、いわゆるなみだ目の症状が生じます。泣いていないのに涙がこぼれてくる、常に涙が溜まって不快感がある、涙がたまってぼやけて見えつらい、目やにがたくさん出てくるといった症状が引き起こされます。
老化によって涙道が自然と閉塞してくる場合もありますが、生まれつき鼻涙管が閉塞している方や鼻の病気、抗癌剤の副作用、原因不明のものも存在します。
目薬で治ることもありますが、原因によっては手術を必要とします。
当院の涙道外来ではこうした涙道閉塞の原因を探り、状況に応じて治療を行うことを専門的に行っています。

当院での診断/治療について

涙道閉塞の原因を探るために、外来にて涙管通水検査を行います。涙道に生理食塩水を流し、鼻腔に流れてくるかどうかで涙道閉塞の有無を確認します。
その他の目の病気に伴ってなみだ目が生じている場合もあるため、一般的な眼科検査も行います。鼻の病気を患っている場合や極めてまれに涙道に腫瘍ができている場合もあるため、必要に応じて頭部CT検査やMRI検査を施行する場合があります。検査結果に基づいて治療を選択していきます。

当院で施行している治療は大きく分けて二つに分かれます。

  • 涙道内腔再建術: 閉塞してしまった涙道を内視鏡などを用いて再び開通する
  • 涙嚢鼻腔吻合術: 閉塞してしまった涙道とは別に新たな涙の通り道を作る

涙道内腔再建術は、ご自身の本来の涙道を再び開通する手術です。涙道内の状態を内視鏡を用いて確認しながら、閉塞した部位を開いていきます。開いた後に特殊なチューブを涙道に留置することで再び閉塞することを予防します。局所麻酔の手術で、皮膚を切ったりすることはありません。
しかしながら長い間病気を患っている方や涙嚢炎といって涙道内に多量の膿が溜まっている方の場合、手術後に再発する可能性が高くなってしまいます。再発した場合は、後日涙嚢鼻腔吻合術を行う場合があります。

涙嚢鼻腔吻合術は、閉塞してしまった涙道とは別に涙の通り道となるバイバスを作る手術です。鼻の骨の一部を削り涙嚢と鼻腔をつなぎ合わせて新たな涙道を作ります。全身麻酔の手術で、長く病気を患っている方や涙嚢炎の方でも再発する可能性が低く安全性の高い手術です。しかしながら皮膚の切開を必要とするため、傷跡が残る可能性があります。

 

治療方法は患者さんの個人個人の状態によって異なります。詳細な検査の後に治療法に関して十分にお話しさせて頂き、最善の治療を行えるように取り組んでおります。なみだ目でお困りの方は一度ご相談ください。

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