2021年3月3日(水)に、山口大学 令和2年度全学FD・SD講演会『教学マネジメントについて考える~「大学全体」「学位プログラム」「授業科目」レベルに着目して~』を、学内外から164名の参加者を集め、Zoomによるオンライン聴講及び吉田キャンパス・共通教育棟2階会議室による会場聴講を併用したハイブリット型セミナーにて開催した。オンライン聴講を可能としたため、北海道から沖縄にかけて全国各地の教職員が参加した。本講演会は、大学リーグやまぐちの主催で実施された。
冒頭、松野 浩嗣 山口大学 理事・副学長(教育学生担当)・教学マネジメント室長より開会挨拶があり、教学マネジメントの重要性が謳われる中で、所属大学を超えた大学関係者の議論に期待が寄せられた。また、「山」が付く国立3大学が顔を揃え、有意義な交流を行いたい旨、発言があった。
基調講演では、まず、山形大学 学術研究院 教授(教学マネジメント特別委員会委員) 浅野 茂 氏より、「山形大学における教学マネジメント ~教育ディレクター制度の深化とアセスメントへの挑戦~」と題して講演があった。各学科・専攻に配置された教育ディレクターとの連携により、カリキュラム・マッピングを通したカリキュラム・ポリシー(CP)及びディプロマ・ポリシー(DP)の妥当性を検証しながら、教育目標の可視化を図っている取組が紹介された。特に、教育目標の妥当性を強調し、そのことを通して初めて、学修成果測定の正確さが担保されると述べられた。また、学修成果のアセスメントの事例として、大学独自に開発した基盤力テストの取組状況について説明があった。
次に、山梨大学 大学院総合研究部 工学域 電気電子情報工学系 教授(教育国際化推進機構大学教育センター長・学長補佐) 塙 雅典 氏より、「山梨大学における教学マネジメント ~内部質保証の実質化と自己点検・改善の定常化~」と題して講演があった。内部質保証システムの概要や実施体制について詳細な説明があり、大学独自に策定した教育環境及び教育内容の内部質保証基準に従って、2019年度に全学部、2020年度に全研究科を対象に「教育内容」の自己点検・評価を試行したことが紹介された。特に、自己点検・評価の4段階判定の目安や記入上の注意など、非常に参考となる内容が沢山盛り込まれていた。
最後に、山口大学 理事・副学長(教育学生担当)・教学マネジメント室長 松野 浩嗣 氏より、「山口大学における教学マネジメント ~学部・研究科との関係性を重視したアクション~」と題して講演があった。山口大学では、2020年1月公表の『教学マネジメント指針』に忠実な取組を行っており、同年4月に創設した「教学マネジメント室」の構成や各教学組織との関係性を中心に、内部質保証体制や教学IRの整備や今後の取組の方向性について紹介があった。
後半では、林 透 教学マネジメント室 副室長の進行のもと、参加者からのチャットによる質問に講師が回答する形で全体共有を行った。参加者からは「基盤力テストで測定できるものはDPを構成するさまざまな能力の一部かと思いますが、他の諸能力はどう評価されているのでしょうか。また、基盤力テストの結果を、カリキュラム改善や授業改善に結びつけるために、教員集団に対してどのようにフィードバックされていらっしゃいますでしょうか。」「2019年度、2020年度の試行を通して、どのような気づきがありましたか、良い点や課題がありましたか。」「教学マネジメント室という新設組織を設置した必要性やねらいについて、お教えください。」などの質問があった。各講師からは、山形大学の基盤力テストで測定している能力の範疇、山梨大学の教育課程ごとの自己点検・評価を通して見えてきたこと、山口大学の教学マネジメント室設置の意図などについて回答があった。
参加者アンケート結果から満足度の高いセミナーとなり、今後も同様のオンラインによるFD・SD講演会を望むコメントが寄せられ、更なる充実を図っていくこととした。